2000 Fiscal Year Annual Research Report
肝細胞の発がん過程に関与する新規のがん遺伝子ガンキリンの機能解析
Project/Area Number |
12213067
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
東辻 宏明 京都大学, 医学研究科, 助手 (60281094)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 潤 京都大学, 医学研究科, 教授 (50173430)
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Keywords | 肝がん / アポトーシス / がん遺伝子 / 転写調節 / タンパク分解 |
Research Abstract |
ヒト肝がん組織を用いたcDNAサブトラクション法により、新規の遺伝子ガンキリン(アンキリンリピートよりなる蛋白)を単離した。機能解析により、ガンキリンは、(1)がん遺伝子であること、2)かん抑制遺伝子のRBと結合すること、(3)そのがん化能は、RBのリン酸化亢進(転写調節)とRBの分解促進(たんぱく分解)という二方向により発揮されること、が判明した(Nature Medicine、2000)。さらに、26Sプロテアソームの調節サブユニットの一因子であるガンキリンのがん化能について、他のがん抑制遺伝子産物の分解を促進していないかということを調べた。ガンキリンを過剰発現した細胞株では、あるがん抑制遺伝子産物の分解は高度に促進されていたが、RBの場合とは異なり、ガンキリンは、そのがん抑制遺伝子産物とは複合体を形成していなかった。さらに、DNA損傷後のアポトーシスに対して、抵抗性を示した。RBとは異なった機序によるガンキリンによるたんぱく分解の経路の存在とその経路による抗アポトーシス作用が示唆された。次に、転写調節という側面からのガンキリンのがん化能について、複合体を形成する他の転写因子への影響を調べた。その転写因子のDNA結合能を核内でプロックすることで、その転写活性化能を抑制していた。いままで、ウイルス発癌を中心に解明されてきたヒト肝がんについて、転写調節能とたんぱく分解制御能をもつ内因性たんぱくガンキリンを中心に解析をした。
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