2004 Fiscal Year Annual Research Report
Translesion synthesisの分子機構と発がん
Project/Area Number |
12213070
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
花岡 文雄 大阪大学, 大学院・生命機能研究科, 教授 (50012670)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横井 雅幸 大阪大学, 大学院・生命機能研究科, 助手 (00322701)
大熊 芳明 富山医科薬科大学, 薬学部, 教授 (70192515)
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Keywords | 色素性乾皮症バリアント / 損傷乗り越え複製 / DNAポリメラーゼ・イータ / DNA損傷 / 遺伝子ノックアウト / REV1 |
Research Abstract |
研究代表者らは、損傷乗り越え複製(translesion synthesis)機構全体を総合的に理解し、発がんおよび発がん防御における役割と明らかにすることを目的として、以下に述べる研究を行った。 1)色素性乾皮症バリアント(XP-V)群の責任遺伝子産物であるDNAポリメラーゼη(Polイータ)のDNA結合能について解析を行い、DNAポリメラーゼηが損傷に対して正しいヌクレオチドを重合することによりPolイータとDNAとの結合が安定化されること、この安定化は重合されたヌクレオチドが正しい場合にのみ認められ、誤ったヌクレオチドを重合した場合には認められないこと、また、この安定化は、損傷を通過して二つ目のヌクレオチドを重合するまで維持されること、そして、この二つめのヌクレオチドが重合されることにより複製型のDNAポリメラーゼ(PolアルファやPolデルタ)が伸長反応を行えるようになることを示した。これらの結果より、Polイータ自身のPNA結合能により、複製の忠実度の低いPolイータの反応が必要最小限に限定されていることが示された。 2)XP-V患者のモデルマウスを作成するため、既にPolイータのヘテロノックアウトマウスを作成したが、その交配によりホモノックアウトマウスがほぼメンデル則にしたがって誕生した。8週齢頃から週1回背中の毛を剃り、毎日、2,000J/m2のUVBを照射したところ、照射開始後13週目あたりから腫瘍が観察され、22週では100%のマウスに腫瘍が発生した。一方、野生型及びヘテロマウスにおいては、同じ週齢で腫瘍の発生は見られなかった。 3)Polイータと他のタンパク質間の相互作用について検討し、PolイータとREV1との間に物理的な相互作用を見出した。REV1はPolイータと同じくYファミリーに分類されるPNA合成酵素であり、この相互作用が損傷乗り越えDNAポリメラーゼの使い分けにおいて重要と考えられる。
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Research Products
(6 results)