2001 Fiscal Year Annual Research Report
DNA修復欠損マウスを用いた紫外線誘発皮膚がん機構の解析
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12213071
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中津 可道 九州大学, 医学研究院, 助教授 (00207820)
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Keywords | xeroderma pigmentosum / XPA欠損マウス / ヌクレオチド除去修復 / MSH2欠損マウス / ミスマッチ修復 / 紫外線誘発皮膚癌 |
Research Abstract |
色素性乾皮症(xeroderma pigmentosum : XP)は、ヌクレオチド除去修復機構が先天的に欠損した高発癌性遺伝性疾患である。我々はXP患者における高頻度皮膚癌発症の分子機構を解明するためにXPA欠損マウスを作成し、紫外線誘発皮膚発癌実験を行っている。これまでの解析の結果、XPA欠損マウス由来の紫外線誘発皮膚癌細胞株はヌクレオチド除去修復能を欠損しているにもかかわらず紫外線抵抗性を示すことや、ミスマッチ修復蛋白質MSH2の発現量およびミスマッチ修復活性が顕著に低下していることを見いだしている。本研究ではXPA細胞の紫外線感受性とミスマッチDNA修復能との関連を検討した。MSH2/XPA二重欠損マウスを作成し、その細胞の紫外線感受性と紫外線照射後の細胞周期の進行を解析した。その結果、MSH2欠損がXPA欠損マウス細胞に紫外線抵抗性賦与し、紫外線照射後のG1/Sチェック・ポイントでの細胞周期停止を解消させることが判明した。ミスマッチ修復機構の紫外線誘発皮膚発癌への関与を個体レベルで検証するために、MSH2欠損、XPA欠損マウスを用いて紫外線誘発皮膚発癌実験を行った。一年以内に約8割のMSH2欠損マウスに自然皮膚発癌が認められた。また、MSH2欠損マウスは野生型マウスに較べて紫外線誘発皮膚発癌に対しても感受性が高いことが判明した。MSH2/XPA二重欠損マウスは、XPAあるいはMSH2単独欠損マウスに較べて、早期に紫外線誘発皮膚癌を発症することが認められ、ミスマッチ修復機構欠損はヌクレオチド除去修復機構欠損と個体の紫外線誘発皮膚発癌を促進することがわかった。以上の結果から、ミスマッチDNA修復機構はDNA損傷を持つ細胞の増殖を停止させ、あるいはそのような細胞に死をもたらすことにより、発がん防御に大きな役割を果たしていると推測される。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Murai M, Enokido Y, Inamura N, Yoshino M, Nakatsu Y, van der Horst GT, Hoeijmakers JH, Tanaka K, Hatanaka H.: "Early postnatal ataxia and abnormal cerebellar development in mice lacking Xeroderma pigmentosum Group A and Cockayne syndrome Group B DNA repair genes"Proc Natl Acad Sci USA. 98(23). 13379-13384 (2001)
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[Publications] Tanaka K, Kamiuchi S, Ren Y, Yonemasu R, Ichikawa M, Murai H, Yoshino M, Takeuchi S, Saijo M, Nakatsu Y, Miyauchi-Hashimoto H, Horio T.: "UV-induced skin carcinogenesis in xeroderma pigmentosum group A (XPA) gene-knockout mice with nucleotide excision repair-deficiency"Mutat Res.. 477(1-2). 31-40 (2001)