2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12213086
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (C)
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
井出 利憲 広島大学, 医学部, 教授 (60012746)
|
Keywords | 骨芽細胞 / アストロサイト / テロメア / 細胞分裂寿命 / テロメラーゼ / T抗原 |
Research Abstract |
ヒト体細胞が有限分裂寿命を持つのは、細胞複製毎に起きるテロメア短縮のためであり、無限分裂寿命を持つ(不死化)細胞はテロメアを延長するテロメラーゼ活性を持つ。しかしながら、テロメラーゼ遺伝子(hTERT)の強制発現によるテロメア延長だけでは、細胞の種類によってかなり挙動が異なり、必ずしも不死化するわけではない。たとえば、胎児血管内皮細胞、乳腺上皮細胞はhTERT導入で不死化するが、繊維芽細胞はhTERT導入によってテロメアも分裂寿命も延長するが不死化しない事などがわかっている。本研究では、1.遺伝的早老症であるウエルナー症候群の線維芽細胞は、培養系で20-30代しか分裂できず、T抗原を導入してもではほとんど延命しなかった。2.これにhTERTを導入すると不死化細胞が得られた。3.健常人のアストログリアや骨芽細胞も培養系で20-30代しか分裂できず、テロメア短縮のための増殖停止ではない。4.アストログリアや骨芽細胞では、hTERT導入によってテロメラーゼ活性を強制発現させても分裂寿命の延長はおきず、SV40T抗原を導入すると分裂寿命が著しく延長するが不死化はしない。5.T抗原を導入しておいた細胞にhTERT遺伝子を導入すると、不死化細胞が得られた。6.hTERT導入だけで不死化した血管内皮細胞は、インビトロでの血管形成能を持つ等の正常血管内皮細胞としての性質を持っていた。7.不死化した血管内皮細胞は正常血管内皮細胞の増殖を促す因子を分泌していることが分かった。不死化血管内皮細胞が正常内皮細胞の増殖を促進する因子を出していることは興味あることである。T抗原とhTERTの強制発現で不死化したアストログリアや骨芽細胞でも同様に正常細胞の増殖を促進する因子を出していれば、その因子の添加によって正常細胞を増殖させ、hTERT導入のみによる不死化が期待できる。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Ohsugi,I., et al.: "Telomere repeat DNA form a large non-covalent complex with unique cohesive properties dissociated by Werner syndrome DNA helicase in the presence of replication protein A."Nuc.Acid Res.. 28. 3642-3648 (2000)
-
[Publications] Kawabe,T., et al.: "Differential regulation of human RecQ family helicases in cell transformation and cell cycle."Oncogene. 19. 4764-4772 (2000)
-
[Publications] Harada,K., et al.: "Telomerase activity in primary and secondary glioblastomas multiforme as a novel molecular tumor marker."J.Neurosurg. 93. 618-625 (2000)
-
[Publications] Harada,K., et al.: "Growth inhibition of human glioma cells by transfection-induced P21 and its effects on telomerase activity."J.Neurooncol. 47. 39-46 (2000)
-
[Publications] 井出利憲: "テロメア・テロメラーゼの臨床応用と今後の展望-診断・治療への応用の可能性"医学のあゆみ. 196・3. 148-151 (2000)
-
[Publications] 井出利憲: "老化とテロメア"Hormone Frontier in Gynecology. 7・4. 349-355 (2000)