2004 Fiscal Year Annual Research Report
テロメラーゼ・テロメア維持が細胞の不死化に果たす役割
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12213086
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
井出 利憲 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (60012746)
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Keywords | テロメア / テロメラーゼ / 細胞分裂寿命 / 細胞不死化 / 細胞内シグナル伝達 / トランスフォーメーション / カルチャーショック / 増殖誘導 |
Research Abstract |
ヒト正常体細胞は有限分裂寿命であるが、癌組織では90%以上でテロメラーゼが検出され、不死化した細胞だけが臨床的な癌にまで成長できるものと理解されている。テロメラーゼ・テロメア維持が細胞の不死化に果たす役割を解析するため、様々なヒト体細胞にhTERTを導入した結果、テロメラーゼ活性発現、テロメア延長、分裂寿命延長、不死化の関係は単純ではないことが分かった。これらのプロセスにおける細胞内シグナル伝達系については理解が進んでおらず、解析を進めた。繊維芽細胞や血管内皮細胞では多くの場合hTERT導入だけで不死化するが、分裂寿命で増殖停止する直接の原因はp21の発現上昇によるもので、本年度の研究でテロメア短縮が最上流シグナルにあることを種々の方法で確認し、さらにテロメア短縮によるp21発現上昇はp53非依存的であることを確認した。このプロセスでのp21の発現は、p38MAPKによって正に、HDAC2によって負に制御されていることがわかった。繊維芽細胞によっては、hTERT導入だけでは不死化できない。これは活性酸素-DNA損傷-ATM-p53-p21の経路で増殖停止するためで、3%酸素気相では不死化できた。乳腺上皮細胞やアストロサイトの他、肝実質細胞もカルチャーショックのため20回程度しか分裂できないが、hTERT導入によってカルチャーショックを乗り越え、さらに不死化した。hTERTにはT抗原と似た増殖誘導作用があるように見える。骨芽細胞による増殖停止は、p21ではなくp16によるものであることがわかり、hTERTによって延命も不死化もせず、不死化にはp16のノックダウンが同時に必要であった。hTERT導入細胞は基本的に正常細胞の表現型を維持しているが、hTERT導入によって発現が変化する遺伝子群、テロメア長に依存して発現変化する遺伝子群などを、プロテオーム、DNAチップで継続して解析中である。また、hTERT導入がゲノムの正常性を維持する可能性、外来DNA導入に対する防御への関与および細胞トランスフォーメーションに対する抵抗性への関与についても解析を進めている。以上、テロメラーゼ活性発現、テロメア延長、分裂寿命延長、不死化、トランスフォーメーションの関係は細胞によって単純ではなく、癌化に果たすテロメラーゼ・テロメア維持の役割の解析は未だ不十分で、継続的な研究が必要ある。
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Research Products
(6 results)