2002 Fiscal Year Annual Research Report
酸化的DNA傷害に対する防御機構の異常と発がん感受性
Project/Area Number |
12213098
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
續 輝久 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (40155429)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中津 可道 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (00207820)
藏 忍 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (90037391)
中別府 雄作 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (30180350)
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Keywords | 活性酸素 / 酸化ストレス / 自然突然変異 / 自然発がん / 8-オキソグアニン / 変異スペクトラム / 放射線誘発突然変異 / DNA修復 |
Research Abstract |
(1)近交系C57BL/6Jに純化したMth1遺伝子欠損マウス系統に、突然変異検出マーカーである大腸菌由来のrpsL遺伝子を交配により導入して解析した結果は、MTH1(Mth1)蛋白質と同じく8-oxo-dGTPase活性を有する大腸菌MutT蛋白質の欠損株とは異なり、典型的なミューテーター表現型が認められなかった。しかしながら突然変異のスペクトラム解析から、検出マーカーであるrpsL遺伝子カセット内に存在するアデニン塩基が繰り返した部分[(A)_<5'>(A)_6]における1塩基のフレームシフト変異の特徴的な発生を認めた。さらに、Msh2遺伝子の欠損が加わった2重遺伝子欠損個体では、Msh2遺伝子単独欠損個体に比べて突然変異が1.6倍上昇し、酸化的損傷ヌクレオチドに起因すると考えられるG : C→T : A型トランスバージョン変異の特徴的な出現を観察した。 (2)同様な解析をMutyh遺伝子欠損マウスについても進めているが、これまでに野生型及びMutyh^<-/->マウスについてそれぞれ24週齢の個体5匹を用いた解析を行った。Mutyh^<-/->マウスでは、野生型と比較し顕著な突然変異頻度の上昇を示すことはなかったが、変異スペクトラムの解析では、大腸菌mutY^-変異株で特異的に増加していたトランスバージョン変異(G : C→T : A型)と同様の変異の増加を確認している。 (3)Mutyh遺伝子欠損マウス121匹並びにコントロールとして野生型マウス109匹を生後1年6ヶ月の期間SPF条件下で飼育した後、剖検して自然発生腫瘍の解析を行った。野生型マウスに比べてMutyh遺伝子欠損マウスでは統計学的に有意に高頻度に自然発生腫瘍が認められた。臓器別では小腸腫瘍の発生がMutyh遺伝子欠損マウスの方で統計学的に有意に高かった。小腸のように細胞分裂の盛んな臓器・組織で腫瘍が多く認められる傾向があり、Mutyh蛋白質が複製が盛んに行われている組織での発がん抑制において非常に重要な働きをしていることが示唆された。また、Mutyh遺伝子欠損マウスでは血管肉腫/血管腫が多い傾向があることから、Mutyh遺伝子の不活化が血管性腫瘍の発生に間接的に関わっている可能性が示唆された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Egashira A. et al.: "Mutational specificity of mice defective in the MTH1 and/or MSH2 genes"DNA Repair. 1・11. 881-893 (2002)
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[Publications] Yoshino, M. et al.: "Additive roles of XPA and MSH2 genes in UVB-induced skin tumorigenesis in mice"DNA Repair. 1・11. 935-940 (2002)
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[Publications] Takahashi, M. et al.: "Role of tryptophan residues in the recognition of mutagenic oxidized nucleotides by human antimutator MTH1 protein"J. Mol. Biol.. 319. 129-139 (2002)
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[Publications] Sekiguchi, M., Tsuzuki, T.: "Oxidative nucleotide damage : consequences and prevention"Oncogene. 21. 8895-8904 (2002)
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[Publications] Tsuruya, K. et al.: "Accumulation of 8-oxoguanine in the cellular DNA and the alteration of the OGG1 expression during ischemia-reperfusion injury in the rat kidney"DNA Repair. 2. 211-229 (2003)
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[Publications] Sakumi, K. et al.: "Ogg1-knockout-associated lung tumorigenesis and its suppression by the Mth1 gene disruption"Cancer Res.. 63(in press). (2003)