2002 Fiscal Year Annual Research Report
食品中因子による細胞のがん化防御に関する基礎的研究
Project/Area Number |
12213119
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
西野 輔翼 京都府立医科大学, 医学部, 教授 (10079709)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳田 春邦 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (60111960)
|
Keywords | クマリン類 / フラボノイド / ヘスペリジン誘導体 / ノビレチン / DNAチップ技術 / p16遺伝子 |
Research Abstract |
日常的に摂取している食品中に多彩な発がん抑制物質が含まれていることが明らかとなってきていることに着目して、効力が優れており、しかも安全性が高い活用方法を確立することが本研究の目的である。今回、新規の発がん抑制成分の一例として、ハナウドなどに含まれているクマリン類の一種である7-isopentenyloxycoumarinが優れた皮膚発がんプロモーション抑制効果を示すことを見出した。実験系としては、発がんイニシエーターとして7,12-dimethylbenz(a)anthracene (DMDA)、プロモーターとしてTPAを用いる二段階発がんモデルを用いた。7-isopentenyloxycoumarin (325 nmol、TPAの200倍量に相当)を発がんプロモーション段階で塗布し続けた結果、実験最終に当たる20週目において見た場合、皮膚腫瘍の発生が、投与群において有意に低い(p<0.05)ことが明らかとなった。次に、カンキツ類などに含有されているヘスペリジンの誘導体グリコシルヘスペリジンが、優れた肺発がんプロモーション抑制効果を示すことを証明した。実験系としては、発がんイニシエーターとして4-nitroquinolinel-oxide (4NQO)、プロモーターとしてグリセロールを用いるマウス二段階発がんモデルを用いた。グリコシルヘスペリジンは、飲水に0.00125%の濃度になるように溶解してプロモーション段階で経口投与した。その結果、肺腫瘍の発生が強力に抑制され、マウス一匹当たりの平均腫瘍数は、コントロール群で2.31であったのに対して、グリコシルヘスペリジン投与群では0.38であり、80%以上の阻害率を示した。続いて、ヘスペリジンと同様にカンキツ類に豊富に含有されているフラボノイドであるノビレチンについて、DNAチップ技術を活用して、発がんに関連する遺伝子群の発現に対してどのような影響を及ぼすかに関して網羅的なデータを収集する試みを実施した結果、がん抑制遺伝子の一つであるp16遺伝子の発現を増強する作用を示すことが明らかとなった。
|
Research Products
(7 results)
-
[Publications] Baba, M., Nishino, H.ほか7名: "Studies on cancer chemoprevention by traditional folk medicine XXV"Biol.Pharm.Bull.. 25(2). 247-250 (2002)
-
[Publications] Masuda, M., Nishino, H., Ohshima, H.: "Formation of 8-nitroG in cellular RNA as a biomarker of exposure to reactive N species"Chemico-Biological Interactions. 139. 187-197 (2002)
-
[Publications] Yamasaki, S., Nishino, H.ほか9名: "Isoliquiritigenin suppresses pulmonary meta. of mouse renal cell carcinoma"Cancer Lett.. 183. 23-30 (2002)
-
[Publications] Matsukawa, Y., Nishino, H.ほか8名: "Quercetin enhances tumorigenicity induced by ENNG in duodenum of mice"Environ.Health Prev.Med.. 6(4). 235-239 (2002)
-
[Publications] Nishino, H., Murakoshi, M.ほか11名: "Carotenoids in cancer chemoprevention"Cancer Meta.Rev.. 21. 257-264 (2002)
-
[Publications] Ichihara, T., Nishino, H.ほか5名: "White, but not red, ginseng inhibits progression of intestinal carcinogensesis"Asian Pacific J.Cancer Prev.. 3. 243-250 (2002)
-
[Publications] 菅原努, 西野輔翼 ほか4名: "食と生活習慣病"昭和堂. 213 (2003)