2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12213152
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
津田 洋幸 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (10163809)
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Keywords | ras / トランスジェニックラット / コンディショナル / 膵管発がん / 乳腺発がん / 組織発生 |
Research Abstract |
ヒト正常型c-Ha-rasトランスジェニックラット(Hras128)はras遺伝子の過剰発現によって新生乳管先端部のterminal endbud (TEB)細胞の増殖能の亢進がみられ(発がん準備状態)、乳腺を標的としない多くの発がん物質でも短期に発がんする。N-methyl-N-nitrosourea(MNU)投与ではTEBの過形成変化の観察される以前より導入遺伝子の変異が検出され短期間に腺がんが発生した。導入遺伝子の早期に活性化の意味を明らかにする目的で、成熟ラットにおいて導入変異型ras遺伝子をコンディショナルに発現させるトランスジェニックラット(Hras250)を作製した。組織にCre/Adenovirusを注入して構成細胞内にras遺伝子活性化させることによって、発がん過程と起始細胞を追究把握した。乳管内にCre/Adenovirusを注入して乳管上皮と腺房上皮および筋上皮細胞に変異型ras遺伝子を発現させると、乳管がん、腺房がんおよび筋上皮腫瘍が短期間に発生した。同様の方法で変異ras遺伝子を膵に発現させると、膵管、腺房中心細胞(centroacinar cell)と介在管(intercalated duct)から膵管がんが発生することがわかり、膵管がんの起始細胞を把握し得た。以上から、このモデルは乳腺、膵等のがん発生起源細胞の解明に有用であるとともに、他の種々の乳腺を標的としない発がん物質による乳がんでも高率に発がんすることから環境発がん物質の短期検索法への応用が可能である。
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Research Products
(6 results)