2000 Fiscal Year Annual Research Report
転写因子GATA-2の造血幹細胞と白血病細胞における発現と機能
Project/Area Number |
12217019
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
峯岸 直子 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (40271895)
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Keywords | 転写調節機構 / GATA-2 / 白血病 / 造血幹細胞 / 血管内皮細胞 / 緑色蛍光蛋白質 / トランスジェニックマウス / 遺伝子破壊マウス |
Research Abstract |
マウス,ヒトのGATA-2遺伝子構造を決定し,それらがアミノ酸をコードしない第一エクソンを2つ持つこと,遠位側の第一エクソン(IS)からの転写が血液系の細胞や発生途上の神経組織で特異的に起きていることを明らかにした。ISエクソンから上流7kbpまでの領域を緑色蛍光蛋白質(GFP)遺伝子に結合しマウス受精卵に導入してトランスジェニックマウス作成したところ,このマウスでは,卵黄嚢,大動脈生殖隆起中腎(AGM)領域,胎仔肝臓の主な胎児期の造血組織にGFPの蛍光を認めた。このマウスの胎仔肝臓のGFP陽性細胞は造血幹細胞のマーカーを発現し,コロニー形成能を持っていた.また,AGM領域でGFPを発現する細胞の表面マーカー解析,血液細胞への分化能の検討により,GATA-2が造血幹細胞と血管内皮細胞の共通の母細胞であるヘマンジオブラストにおいて発現することを明らかにした.さらに,内在性のGATA-2の発現を緑色蛍光蛋白質の蛍光で再現するマウスと,血液系でのGATA-2発現を特異的に制御するISプロモーターの活性を再現するマウスを遺伝子相同組み換え法により作成し,これらマウスを使って造血幹細胞の移植実験等を行い,GATA-2が骨髄造血幹細胞で発現していることを明らかにした.GATA-2遺伝子領域の転写活性をトランスジェニックマウス法で検討し,上流3.1kbpまでの領域に造血組織での転写に必要な活性があることを,2.4kbpまでの領域に胎児期の神経系での発現に必要な活性があることを明らかにした.この領域の中には,DNaseI高感受性領域とほぼ一致して,種間で塩基配列の保存性の高い領域が存在し,これらが転写制御に重要なシス配列である可能性が示唆された.
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Pan,X,Minegishi,N. et al: "Identification of human GATA-2 gene distal IS exon and its expression in hematopoietic stem cell fractions"Journal of Biochemistry. 127・1. 105-112 (2000)
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[Publications] Matsumura I.,Kawasaki A.,Minegishi N.: "Biologic significance GATA-1 activities in Ras-mediated megakaryocytic differentiation hematopoietic cell lines."Blood. 96・7. 2440-2445 (2000)
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[Publications] Umetani,M.,Mataki,C.,Minegishi,N., et al: "Function of GATA transcription factors in the induction of endothelial VCAM-1 by TNF-alpha"Arteriosclerosis, Thrombosis, and Vascular Biology. (In press). (2001)
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[Publications] 峯岸直子: "造血幹細胞の転写調節研究3)GATAファミリー"血液フロンティア. 10・1. 59-67 (2000)
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[Publications] 峯岸直子: "GATA-2による造血制御.2000,40:561-569."血液腫瘍科. 40. 561-569 (2000)
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[Publications] 峯岸直子,山本雅之: "赤血球産生と転写因子,Annual Review血液 2000"中外医学社. 47-57 (2000)
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[Publications] 峯岸直子,山本雅之: "転写因子と血管新生 渋谷正史 編 血管研究の最前線に迫る"羊土社. 27-37 (2000)