放射線誘発アポトーシスをターゲットとした治療法の開発

2003 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 12217022
• Research Institution: Tokyo Women's Medical University
• Principal Investigator: 三橋 紀夫 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (20008585)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 那須 佐知子 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (50292602) ; 前林 勝也 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (60332350) ; 秋元 哲夫 群馬大学, 医学部, 講師 (10261851) ; 村松 博之 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (30302459)
• Keywords: 放射線感受性 / 放射線増感 / 細胞生存シグナル / アポトーシス / 温熱感受性 / 分子標的 / クライアント蛋白

Research Abstract

細胞生存シグナル伝達の機構に注目し、この経路に関与する分子や蛋白をターゲットとする分子標的薬剤の放射線や温熱に対する増感効果を明らかにすることを目的として、基礎的検討を行ない、以下のことが明らかとなった。
1.HSP90シャペロンコンプレックス阻害剤radicicolやgeldanamycin、ヒストン脱アセチル化阻害剤trichostatin Aには、Raf-1やAktなどの細胞内の主要な分子の活性化阻害を介して放射線増感作用があることが明らかとなった。しかし、細胞死の機構については、標的薬剤によって異なっており、とくに変異型p53を有する細胞では、p53非依存性にアポトーシスが誘導されたり、あるいはアポトーシス以外の細胞死の増加がもたらされたりしていた。アンドロゲン依存性腫瘍ではHsp90シャペロンコンプレックス阻害剤により増感効果が認められるものの、その機序にはHsp90のクライアント蛋白であるアンドロゲン受容体の分解によるホルモン感受性の変化が関与していことが示唆された。そこで、Hsp90シャペロンコンプレックス阻害剤による増感はただ単にRaf-1やAktなどの活性化阻害だけでなく、Hsp90のクライアント蛋白である多くの蛋白の分解が複雑に関与しているものと考えられた。
2.温熱感受性に関する検討では、細胞質内へのHsp72の移行と温熱耐性との相関が明らかとなり、温熱によるHSF1陽性顆粒の出現の変化はHSF1の活性化を反映していた。Hsp90シャペロンコンプレックス阻害剤radicicolによって温熱増感が得られ、その機序としては、温熱耐性の原因となるHspsの発現抑制ではなく、放射線増感と同様にp42/p44 ErkやAktの活性化の抑制の関与が大きいと考えられた。

Research Products

• [Publications] Kitamoto, Y., Sakurai, H., Mitsuhashi, N., Akimoto, T.et al.: "Caffeine diminishes cytotoxic effects of paclitaxel on a human lung adenocarcinoma cell line."Cancer Lett.. 191(1). 101-107 (2003)
• [Publications] Takahashi, T., Mitsuhashi, N., Akimoto, T., Matsumoto, H.et al.: "Interaction of radiation and etoposide on two cell lines with different radiosensitivities in vitro."Anticancer Res.. 23(4). 3459-3464 (2003)
• [Publications] Nonaka, T., Akimoto, T., Mitsuhashi, N., Tamaki, Y.et al.: "Changes in the number of HSF1 positive granules in the nucleus reflects heat shock semiquantitatively."Cancer Lett.. 202(1). 89-100 (2003)
• [Publications] Nonaka, T., Akimoto, T., Mitsuhashi, N., Tamaki, Y.et al.: "Changes in the localization of heat protein 72 correlated With development of thermotolerance in human esophageal cancer cell line."Anticancer Res.. 23(6). 4677-4687 (2003)
• [Publications] Akimoto, T., Nonaka, T., Matsumoto, H., Mitsuhashi, N.et al.: "Selective inhibition of survival signal transduction pathways enhanced radiosensitivity in human esophageal cancer cell lines in vitro."Anticancer Res.. (in press).
• [Publications] kimoto, T., Ishikawa, H., Nonaka, T., Harashima, K., Mitsuhashi, N.et al.: "Histone deacetylase (HDAC) inhibitor potentiated radiation-induced cell killing through induction of p53-independent apoptosis."Int, J, Radiat, Biol.. (in press).
• [Publications] 三橋紀夫, 秋元哲夫, 長谷川正俊, 桜井英幸, 前林勝也, 他: "集学的癌治療とapoptosis.集学的癌治療の研究と臨床"篠原出版新社. 8 (2002)