2003 Fiscal Year Annual Research Report
がん治療をめざしたアデノウイルスベクターおよび発現制御法の開発
Project/Area Number |
12217028
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
斎藤 泉 東京大学, 医科学研究所, 教授 (70158913)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鐘ヶ江 裕美 東京大学, 医科学研究所, 助手 (80251453)
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Keywords | 遺伝子治療 / アデノウイルスベクター / 部位特異的組換え酵素 / 遺伝子置換反応 / guttedベクター |
Research Abstract |
がんの遺伝子治療の実用化に向けて本研究ではがん細胞特異的高度発現機能を有する改良型アデノウイルスベクターの開発を目的としている。申請者らが既に開発した部位特異的組換え酵素とがん細胞特異的プロモーターを併用した「アデノウイルス二重感染法」を更に発展させた「単一型特異的高度発現ベクター」作製法の確立のために36kbまで目的遺伝子の挿入が可能なguttedベクターを部位特異的組換え酵素による遺伝子置換反応を応用して作製する新規作製法の確立を行っている。既に昨年度までに、総じてプロモーター活性の弱い細胞特異的プロモーターから発現する目的遺伝子発現のスイッチとなる部位特異的組換え酵素は組換え効率の高いCreを用い、guttedベクター作製においてはFLPを応用する方針を固めた。本年度は主にFLPによる遺伝子置換反応を用いたベクター作製法の検討を行った。FLPを高度に発現する293細胞の樹立化は既に成功していたが、本年度は、遺伝子置換反応による第一世代アデノウイルスベクターの生成効率についてFLP発現293細胞を用いて検討した。その結果recipientウイルスのパッケージングシグナルの切り出し効率はFLP発現293細胞の方がCre発現293細胞よりも高いことが明らかとなった。FLPはCreと比べて組換え効率は劣っているが、この結果は樹立化に伴う293細胞へのFLP自体の影響が少なかったためFLPではCreよりも発現量が多い樹立化細胞が得られたことによると考えている。実際第一世代ベクターの濃縮効率においても、Creでは2回のウイルス継代で約85%に留まっていたのに対し、FLPでは既にほぼ100%であり、ベクター作製においては今回樹立化したFLP発現293細胞は非常に有用である可能性が示唆された。今後はヒト型・温度安定型FLP(hFLPe)発現293細胞等FLP側の検討を加えるとともに、guttedベクター作製を試みる。
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Research Products
(1 results)