2004 Fiscal Year Annual Research Report
がん治療をめざしたアデノウイルスベクターを用いた発現制御法の開発
Project/Area Number |
12217028
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
斎藤 泉 東京大学, 医科学研究所, 教授 (70158913)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鐘ヶ江 裕美 東京大学, 医科学研究所, 助手 (80251453)
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Keywords | アデノウイルスベクター / guttedベクター / 部位特異的組換え酵素 / Cre / loxP / FLP / FRT |
Research Abstract |
がんの遺伝子治療の実用化に向けて本研究ではがん細胞特異的高度発現機能を有する改良型アデノウイルスベクターとして、がん細胞特異的プロモーターから部位特異的組換え酵素を発現する「制御ユニット」と強力なプロモーターからの目的遺伝子の発現をOFFからONへと制御する「発現標的ユニット」を一つのウイルスベクターに組み込む「単一型特異的高度発現ベクター」作製法の開発を行ってきた。このベクターにはヘルパーウイルス依存型アデノウイルスベクター(guttedベクター)を応用するため、guttedベクターの効率的な作製法の開発が必須であり、部位特異的組換え酵素の遺伝子置換反応を応用した全く新しいベクター作製法の開発に取り組んでいる。一般的に発現効率が劣る細胞特異的プロモーターからの発現量を確保するために、制御ユニットには組換え効率が高いCreの応用が必須であり、ベクター作製にはFLPを応用する必要性が生じたが、FLPは組換え効率がCreと比べ劣るためFLPの改良を行ってきた。本年度はFLPの温度安定型として報告された4アミノ酸変異体FLPeと本研究で我々が新規に合成し作製したFLPeのcodon usageをヒト型化したhFLPeの組換え効率をFLPと詳細に比較した。新たに作製したペプチド抗体を用いた解析からhFLPeのタンパク質量はFLPと比べ数十倍上昇していたことが明らかとなったが、組換え効率はFLPやFLPeとほぼ同程度であり、高度に発現したFLPは細胞への影響を示す可能性が示唆された。しかし本研究で樹立化したFLPやhFLPe発現293細胞は、予想に反してCre発現293細胞よりも高い組換え効率とベクター生成効率を示しており、これらの細胞株を用いることでguttedベクター作製の高効率化が図られるものと考えている。
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Research Products
(3 results)