2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12217029
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
鈴木 紀夫 国際医療福祉大学, 保健学部, 教授 (10010050)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榎本 敦 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (20323602)
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Keywords | 放射線誘発細胞死 / シグナル伝達 / p41タンパク / SAPK / JNK / c-myc / p53 / MOLT-4細胞 / DNA-PK |
Research Abstract |
本研究は、感受性予測法、腫瘍増感法、正常組織防護法の開発を目指し,細胞固有の感受性に重要な因子の解明、照射後の細胞死に至るシグナル伝達経路の解明を行ってきた。MOLT4細胞を中心に、放射線感受性とくにアポトーシス様細胞死に関与する因子と経路、特に、SAPK/JNK経路とp53を介する経路の解明を進めてきた。1)従来から、注目されていたp53経路に加え、JNK経路の重要性を証明、2)MOLT4の放射線誘発アポトーシス様細胞死にはJNKの活性化に続きc-Mycの減少を伴うことを見出した。線量・時間依存的に転写因子c-mycのmRNA、タンパク量が減少し、c-myc antisense oligonucleotidesやsiRNA導入、c-Myc阻害peptides処理で、細胞死が誘導された。3)これらの現象が培養腫瘍細胞のみならずin vivo(scidマウス腫瘍系)でも起こることを検証確認した。4)DNA-PK,ATMの細胞修復シグナル系の細胞死への関与メカニズムと役割の解明;PI3-Kの阻害剤であるWortmanninはP-Aktを抑える0.1μMでは、放射線や温熱誘発細胞死に影響せず、細胞死増感には、DNA-PKとATMを抑える1μM以上の濃度とJNK経路活性化が必要で、p-Aktを抑えるだけでは十分でないことを示した。5)さらにDNA-PK欠損、p53欠損マウスと各野性系をもちいて放射線治療効果におけるこれらシグナル系の役割解明のため分割照射修復能と各臓器死の解析を行った。6)培養細胞系を中心にDNA-PK下流の照射シグナルとしてのXRCC4のリン酸化部位を決定し、リン酸化部位特異的新規抗体を作製した。さらにニワトリ白血病細胞DT-40の修復系変異株をもちいて温熱の放射線増感作用を解析した。7)新規マーカータンパクとしてp41他、XRCC4,JNKの断片化を見出した。8)これらの新規シグナルタンパクに対する特異抗体の開発作製、9)さらに開発作製した新抗体の培養細胞での検討に加え、臨床応用の共同研究を含め有用性の検討を継続してきた。以上の結果から、JNK経路を修飾して変異型又p53nullの腫瘍細胞を選択的に増感しながら野性型p53特異的に正常組織を防護できる可能性が示された。
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Research Products
(4 results)