2001 Fiscal Year Annual Research Report
がんの新規ゲノム異常の探索と多項目遺伝情報によるがんの個性診断法の開発
Project/Area Number |
12217045
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
稲澤 譲治 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (30193551)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安居 幸一郎 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (30323695)
井本 逸勢 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教授 (30258610)
|
Keywords | がん / 遺伝子増幅 / 癌関連遺伝子 / CGH / マイクロアレイ / 個性診断 / アポトーシスインヒビター |
Research Abstract |
癌細胞は複数の遺伝子が多段階的に変異を起こし蓄積することで転移や治療抵抗性などの悪性形質を獲得する。この悪性形質は同じ病型でも個々の患者でしばしば異なり、今後「癌の個性」を見極めた至適治療の選択が重要課題になる。今回の研究では、各種の腫瘍で潜在的ゲノム異常を分子細胞遺伝学的アプローチにより網羅的に探索し、見出されたnonrandomなゲノム異常を標的にして新規癌関連遺伝子の同定を進め、これらの異常の臨床病態への関わりを明らかにする。さらに体系的な遺伝子ゲノム異常の検出が可能なCGHマイクロアレイシステムを開発、導入してゲノム情報に基づく「癌の個性」診断法を確立を目指した。 固形腫瘍の病型特異的ゲノム異常の探索を目的に、総計700以上のサンプルでCGH法によるゲノムコピー数異常解析を行った。その結果、いくつかの新規増幅領域を見出し、さらに標的遺伝子を明らかにした。11q22増幅の標的cIAP1は子宮頚癌(CVC)の約10%においても増幅を認め、CVC放射線単独治療70例におけるcIAP1免疫染色と臨床病理学所見の相関解析より、核染陽性と局所再発・生存率間において有意な相関を確認した(p=0.023,p=0.0017)。この結果は、cIAP1がCVCの悪性度判定のバイオマーカーになるだけでなく、格好の治療の標的分子となる可能性を示すものである。さらに、腫瘍ゲノムコピー数の網羅的・高精度解析をめざし、高密度CGHアレイの開発を続けた。すでに全染色体をカバーする高密度CGHアレイ用BACクローン4887個の抽出を完了しつつある。また、224個の癌関連遺伝子を張り付けたCGHアレイを作製し、本システムにより1コピーレベルのゲノム異常も検出可能であることを確認した。今回の研究成果を基盤に、新しい癌の診断、治療、さらに予防法確立を目指したトランスレーショナルリサーチへの展開が期待できる。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Nakakuki K., et al.: "Novel targets for the 18p11.3 amplification frequently observed in esophageal squamous cell carcinomas"Carcinogenesis. 23・1. 19-24 (2002)
-
[Publications] Imoto I., et al.: "Identification of cIAP1 as a candidate target gene within an amplicon at 11q22 in esophageal squamous cell carcinomas"Cancer Res.. 61・18. 6629-6634 (2001)
-
[Publications] Yasui K., et al.: "Identification of target genes within an amplicon at 14q12-q13 in esophageal squamous cell carcinoma"Gene Chromosom Cancer. 32・2. 112-118 (2001)
-
[Publications] Imoto I., et al.: "Identification and characterization of human PKNOX2, a novel homeobox-containing gene"Biochem.Biophys.Res.Commun. 287・1. 270-276 (2001)
-
[Publications] Imoto I., et al.: "SNOis a probable target for gene amplification at 3q26 in squamous-cell carcinomas o the esophagus"Biochem.Biophys.Res.Commun. 286・3. 559-565 (2001)
-
[Publications] Watanabe T., et al.: "Human arylhydrocarbon receptor repressor (AHRR) gene : genomic structure and analysis of polymorphism in endometriosis"J.Hum.Genet. 46・6. 342-346 (2001)