2000 Fiscal Year Annual Research Report
赤潮プランクトンの作る抗ガン活性多糖体の構造と機能機序
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12217103
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
松田 政広 香川大学, 農学部, 助手 (50253258)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
茂田 士郎 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (00045634)
岡崎 勝一郎 香川大学, 農学部, 教授 (60109733)
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Keywords | 赤潮プランクトン / Gymnodinium A3 / 乳酸結合硫酸ガラクタン / 細胞毒性 / アポトーシス誘導 |
Research Abstract |
赤潮原因種のGymnodinium A3が生産する新規な乳酸結合硫酸ガラクタンは培養がん細胞に細胞毒性を示し、がんスクリーニング委員会の「がん培養細胞パネルテスト」で有効性を示したことから、この作用機序を明らかにすることを目的とした。 瀬戸内海で分離した赤潮微細藻Gymnodinium A3を多糖生産株として維持し、ESM培地、21.5℃、3,500lux連続光の条件下で本培養後(3L、90日間)、藻体をWhatman GFFガラス繊維濾紙で除去し、エタノール及び第4級アンモニウム塩(Cetavlon)沈殿、引き続きDEAE-セルロースイオン交換クロマトにより0.8M NaCl溶出画分多糖(GA3P)を収率14%で得た。 生産された新規な乳酸結合硫酸ガラクタンは、がん培養細胞U-937、K-562、及びMT-4等で細胞毒性を示し、アポトーシス誘導が認められた。本多糖を部分的に脱乳酸処理し、K-562及びアレキサンダー細胞に対してアポトーシス誘導試験を行ったところ、乳酸基が減少することにより、アポトーシス誘導の低下が認められた。本多糖はC-3に乳酸基、C-2に硫酸基の結合したβ-1,4結合のガラクトースであり、乳酸基の存在がアポトーシスの誘導に強く関与することが示唆された。 本多糖は分子量10^5オーダーを示す高分子物質であるため、細胞膜を通過した後細胞核や器官に直接働くのではなく、細胞表面に結合することによって、アポトーシスが起こり細胞毒性を発現すると考えられる。今回のK-562細胞では乳酸基の有無に関わらず、硫酸ガラクタンでトポイソメラーゼ阻害が認められたため、今後硫酸基の有無による影響についても検討をする必要があると考えられる。また、乳酸や硫酸基の含有量を増減させたガラクタンを調製し、細胞毒性とアポトーシス誘導を調べることにより抗がん機構の解明につなげたいと考えている。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Sogawa,K.,Yamaka,T.,Sumida,T.,Hamakawa,H.,Kuwabara,H.,Matsuda,M.,Muramatsu,Y.,Kose,H.,Matsumoto,K.,Sasaki,Y.,Okutani,K.,Kondo,K.,Monden,Y.: "Induction of apoptosis and inhibition of DNA topoisomerase-I in K-562 cells by a marine microalgal polysaccharide."Life Sciences. 66. 227-231 (2000)