2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12217133
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
井本 正哉 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (60213253)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田代 悦 慶應義塾大学, 理工学部, 助手 (00365446)
|
Keywords | がん細胞 / 異常増殖 / Bcl-2 / アポトーシス / PDGF受容体 / サイクリンD1 / CDC25A / レプトマイシン |
Research Abstract |
がん細胞は、遺伝子変異の蓄積により異常な増殖能、高い浸潤・転移能およびアポトーシス耐性能を獲得することにより悪性化する。そこで、これらを阻害する薬剤の探索と機構解析を行った。 1)Bcl-2機能阻害物質インセドニンの発見 Bcl-2やBcl-xLはアポトーシスを負に制御している蛋白質で、ヒトの半数以上の癌細胞において過剰発現が観察されている。この過剰発現が癌の悪性化に関与しておいることが考えられることからBcl-2の機能阻害物質を微生物の二次代謝産物より探索した。その結果、放線菌1772-21株の培養液に活性を見出した。単離精製および構造解析により新規化合物インセドニンを発見した。Bcl-2を過剰発現させたヒト小細胞肺ガンMs-1細胞はアドリアマイシンやカンプトテシンに対して耐性を示すが、インセドニンの存在下では細胞死が誘導された。 2)新規エキソンを含むPDGF受容体mRNAの発現制御機構と機能解析 サイクリンD1が過剰発現した細胞ではヒト血小板由来増殖因子受容体(PDGF受容体)が転写レベルで上昇していることを見いだした。この機構解析を進めた中から、サイクリンD1/pRB/E2F-1で制御される新規ヒトPDGF受容体mRNAスプライシングバリアントを見いだした。 3)CDC25A阻害物質の探索 CDC25Aは細胞周期を正に制御するタンパク質であることから、CDC25Aの阻害剤は制がん活性が期待できる。合成された数種類のnaphtoquinoneアナログについてCDC25A阻害活性を評価し、いくつかのCDC25Aの阻害活性を有する化合物を見いだした。 4)レプトマイシン感受性タンパク質の同定 HeLa細胞に核外移行阻害剤レプトマイシンBを処理し、核内に蓄積したタンパク質を2次元電気泳動で分離し、MALDI-TOF Massで同定した。およそ80個のタンパク質が同定された。
|