2000 Fiscal Year Annual Research Report
イリノテカン治療による骨髄抑制のCPT耐性トポI遺伝子導入による保護の試み
Project/Area Number |
12217143
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
安藤 俊夫 創価大学, 工学部, 教授 (20012693)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳瀬 香恵 創価大学, 工学部, 助手 (40329165)
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Keywords | カンプトテシン / イリノテカン / トポイソメラーゼI / cleavable complex / 薬剤耐性 / 骨髄抑制 |
Research Abstract |
カンプトテシン(CPT)誘導体を用いた癌化学療法における耐性機構の解明と、副作用の軽減を目的として、種々の実験を行った。CPT誘導体の1つであるイリノテカン(CPT-11)は、有効な抗癌剤としてとりわけ欧米各国で広く使用され、胃癌、大腸癌、肺癌などの治療に実績をあげている。他の薬剤との併用により、さらなる抗腫瘍効果を発揮することからも、CPT-11の有用性は非常に高い。しかし骨髄抑制や下痢などの副作用が問題で、我が国における使用量は欧米と比較して少ないのが現状である。本研究では、重篤な副作用である骨髄抑制を軽減することを目的としている。 CPTは、トポイソメラーゼI(トポI)とDNAとの反応中間体Cleavable Complex(CC)を安定化することで、トポIの触媒作用を阻害する。ヒト白血病細胞由来のCPT耐性株CPT-K5は、CPT耐性な変異型トポIを発現している。今回、野性型トポIを持つマウス繊維芽細胞NIH3T3にこの変異型トポIを発現させると、細胞が2倍以上のCPT耐性を獲得することを見いだした。一方、野性型トポI遺伝子を導入した細胞は、CPT感受性を増強していた。Band depletion assayの結果から、野性型トポI遺伝子導入細胞は、CPT存在下でのCC安定化が促進されていたのに対し、変異型トポI遺伝子導入細胞ではこれが阻害されていることが示された。これらの結果から、CPT-K5由来の変異型トポIは優性的に細胞をCPT耐性化することが示された。この耐性トポI遺伝子を骨髄幹細胞に導入することにより、骨髄抑制の軽減と、さらなる治療効果の向上が可能になると期待される。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Kae Yanase: "Identification of a deletion mutant of DNA topoisomerase I cDNA from a camptothecin-resistant subline of human colon carcinoma."Jpn.J.Cancer Res.. 91. 551-559 (2000)
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[Publications] T.Suzuki: "HTLV-1 Tax oncoprotein binds to DNA topoisomerase I and inhibits its catalytic activity."Virology. 270. 291-298 (2000)
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[Publications] 柳瀬香恵: "Surgery Frontier"メディカルレビュー社. 7 (2001)