2000 Fiscal Year Annual Research Report
新しい増殖制御型アデノウイルスベクター開発による新世代癌遺伝子治療の研究
Project/Area Number |
12217148
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
小戝 健一郎 岐阜大学, 医学部, 助教授 (90258418)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白水 和雄 久留米大学, 医学部, 教授 (20216203)
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Keywords | 遺伝子治療 / 癌 / 増殖制御 / アデノウイルス / 遺伝子導入 |
Research Abstract |
<研究の背景と目的> 現在の癌遺伝子治療における最大の問題は、いかなる非増殖型ベクターを用いてもin vivoでは100%の癌細胞に遺伝子導入することは不可能であることで、このため非遺伝子導入癌細胞から癌が再発して臨床的恩恵にはつながっていない。本研究の目的は従来の遺伝子治療法を最適化するだけでなく、増殖制御可能なアデノウイルスベクターを新たに開発してin vivoで100%の癌細胞に遺伝子を導入すること、さらにそのベクターにのせる新たな治療候補遺伝子の機能解析を行い、新世代の癌遺伝子治療を開発することである。 <今年度の研究成果> 今年度の具体的成果として次の3つが上げられる。(1)我々が開発したコンビネーション遺伝子治療の最適化を種々の癌でおこなった。一例として臨床病態を反映する胃癌肝転移モデルを作製し、自殺遺伝子治療の検討を行ってみると、従来いわれていたこととは異なり自殺遺伝子は発現を単に強くすれば効果が増すというものではなかった。(2)増殖制御型アデノウイルスベクターの開発:一例として肝癌をモデルとして、癌胎児性抗原AFPへの反応型アデノウイルスベクターの機能とその治療効果を解析し、増殖制御型アデノウイルスベクターの潜在能力を確認した。その他、種々の増殖制御型アデノウイルスを作製している。(3)新たな治療候補遺伝子の検討:CD9分子の生体内機能解析としてCD9ノックアウトマウスを作製し、CD9は受精に必須の膜タンパクであることが解明できた。さらにCD9の癌への分子作用もin vasion assayで検討し、一部の癌で癌抑制作用があることがわかった。 <考察と展望> 本年度の成果は、本研究の高いオリジナリティーとさらなる発展への有望性を示唆している。今後新世代癌遺伝子治療開発による癌の根治を目指し、さらに強力に研究を進めていく予定である。
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[Publications] Miyado K, et al.: "Requirement of CD9 on egg plasma membran for fertilization"Science. 287. 321-324 (2000)
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[Publications] Sasatomi T, et al.: "Expression of the SART1 tumor-rejection antigens in colorectal cancers."Dis Colon Rectum.. 43. 1754-1758 (2000)
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[Publications] Inuzuka K, et al.: "Significance of coexpression of urokinase-type plasminogen activator, and matrix metalloproteinase 3 (Stromelysin) and 9 (Gelatinase B) in colorectal carcinoma"J Surg Res.. 93. 211-218 (2000)
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[Publications] Yoshida S, et al.: "Administration of opiate receptor antagonist inhibits mucosal atrophy of the gut in fasting rats."J Surg Res.. 93. 177-181 (2000)
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[Publications] Kamei H, et al.: "Severity of trauma changes expression of TNF-alpha mRNA in the brain of mice."J Surg Res.. 89. 20-25 (2000)