2001 Fiscal Year Annual Research Report
温熱で誘導される分子シャペロンを利用したがん治療法の開発
Project/Area Number |
12217171
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
大塚 健三 中部大学, 応用生物科学部, 教授 (40150213)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 普武 愛知県がんセンター, 腫瘍ウィルス学部, 室長 (30109938)
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Keywords | 分子シャペロン / Hsp70 / Hsp40 / HSF1 / 温度感受性変異蛋白質 / 遺伝病治療 |
Research Abstract |
分子シャペロンは蛋白質の正しい折りたたみに必須の機能を持つ。最近、変異蛋白質であっても分子シャペロンが過剰に存在すると正常に機能するようになることがわかってきた。本研究は特定の蛋白質の点突然変異によって表現型が変異型を示すいくつかの哺乳類細胞を用いて、これらの細胞に分子シャペロン(Hsp70やHsp40相同体)を高発現させることで、野生型の表現型に回復させようとする全く新しい概念に基づく遺伝子病治療の基礎的研究である。 1.分子シャペロンが変異蛋白質の機能を回復させることができるかどうかを検討するために、点突然変異により温度感受性(39℃では増殖不能)になった細胞(tsTM4)に分子シャペロンを導入した。分子シャペロン単独、または2つの組み合わせでは39℃で増殖できる細胞は得られなかった。しかし構成的に活性型となったHSF1を導入したところ39℃でも増殖できる細胞が出現してきた。このことは分子シャペロンが過剰に存在すると、変異蛋白質であっても正常に機能できることを示唆している。 2.家族性筋萎縮性側索硬化症(FALS)はsuperoxide dismutase 1(SOD1)の変異によって引き起こされる神経変性疾患である。変異SOD1蛋白質は神経細胞内に大きな凝集体を形成するが、分子シャペロン(Hsp70,Hsp40)によってこの凝集体形成が抑制されることが示された。 3.分子シャペロン誘導剤のスクリーニングを行い、いくつかの漢方薬が分子シャペロンの誘導を促進することが判明した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Ohtsuka, K.: "Autoantibody to heat shock protein Hsp4O of lung cancer patients"Jpn. J. Cancer Res.. 92. 316-320 (2001)
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[Publications] Ohtsuka, K.: "Characterization of a processed pseudogene of human ΨHSP4O on chromosome 2q32"DNA Sequence. 12. 293-297 (2001)
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[Publications] Ohtsuka, K.: "Hsp70 and Hsp40 improve neurite outgrowth and suppress intracytoplasmic aggregate formation in cultured neuronal cells expressing mutant SOD 1"Brain Res.. (In press). (2002)