2002 Fiscal Year Annual Research Report
ヘルペスウイルス関連リンパ腫を中心とする日本人リンパ腫の特性の解明
Project/Area Number |
12218207
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森 茂郎 東京大学, 医科学研究所, 教授 (30010424)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 均 東京大学, 医科学研究所, 助手 (70183829)
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Keywords | 悪性リンパ腫 / 胚中心 / Epstein-Barrウィルス / 8型ヘルペスウィルス / bcl-6 / ホジキン病 |
Research Abstract |
日本人のEBウイルス感染の状況が、以前言われてきたこと、すなわち10歳以前に95%以上が抗体陽性になるという通説と異なっている可能性を示すデータを昨年報告した。本年度はこの線上の研究として、健常日本人におけるEBウイルスに対する抗体陽性率を年度別に検索した。国立感染研血清バンクの協力をえて、1970年以降に東京およびその周辺地域で得られた小児血清を対象としてVirus Capsid Antigenに対するIgG抗体値を検索した結果、10才以下の小児の陽性率が、70年代には90%以上であったものが、95年以降には70%以下という値に激減していることを見出した。この結果は小児の生活習慣やそのほか我が国に近年生じている事情が関連していると思われるが、この結果として日本人のEBウイルス関連疾患、具体的にはEBウイルス関連リンパ腫や伝染性単核球症などの発症パターンが、近い将来に激変することを予測させるものであり、その厳密な推定をおこなうことが必要である。 我が国の悪性リンパ腫のうちでもっとも多発する瀰漫性大細胞型リンパ腫について、その発生機序を症例個別的に明らかすることを課題としているが、その過程で本年度は翻訳制御遺伝子であるAminopeptidase2がヒト諸組織のなかでリンパ濾胞胚中心B細胞、およびこの細胞の性質をもつB細胞性リンパ腫において特異的に高発現していること、またこれが従来転移関連蛋白質として知られているS100A4蛋白質と分子会合していることを見出した。これらの新知見は、前年度に報告した新規責任遺伝子U50HGと同様、我が国に発生したリンパ腫症例の発生機序解明の総合的研究の一部としての成果であるが、それが日本人に特異的であるかどうかの検索は今後の課題である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Maekawa I, Aoki N, Shiota M, Nonaka Y, Mori S: "Establishment and characterization of Epstein-Barr Virus-bearing T cell lymphoma occurining in nose"Jpn J Cancer Res. 93. 61-69 (2002)
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[Publications] Kakiuchi c, Ishida T, Sato H, Katano H, Ishiko T, Mukai H, Kogi M, Kasuga N, Takeuchi K, Yamane K, Fukayama M, Mori S: "Secretion of interleukin-6 and vascular endothelial growth factor by spindle cell sarcoma complicating with Castleman's disease, so-called Vascular Neoplasia"J Pathol. 197. 264-271 (2002)
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[Publications] Ishiguro N, Ishida T, Takeuchi K, Osaki M, Araki N, Okada E, Takahashi S, Saito M, Watanabe M, Nakada C, Tsukamoto Y, Sato K, Ito K, Fukayama M, Mori S, Ito H, Moriyama M: "CARP, a putative genetic marker for cardiac hypertrophy, and its new homologue, ARPP, are differentially expressed in heart, skeletal muscle and rhabdomyosarcoma"Am J Pathol. 160. 1767-1778 (2002)
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[Publications] Kanno T, Endo H, Takeuchi K, Morishita Y, Fukayama M, Mori S: "High expression of methionine aminopeptidase type 2 in germinal center B cells and their neoplastic counterparts"Lab Invest. 82. 893-901
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[Publications] Endo H, Takenaga K, Kanno T, Satoh H, Mori S: "Methionine aminopeptidase 2 is a new target for the metastasis-associated protein, S100A4"J Biol Chem. 277. 26396-2640 (2002)