2002 Fiscal Year Annual Research Report
がん関連遺伝子発現の個体差と宿主・環境要因に関する研究
Project/Area Number |
12218239
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Research Institution | Radiation Effects Research Foundation |
Principal Investigator |
中地 敬 財団法人放射線影響研究所, 放射線生物学・分子疫学部, 部長(研究員) (00142117)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
末岡 榮三朗 佐賀医科大学, 医学部, 講師 (00270603)
菅沼 雅美 埼玉県立がんセンター, 研究室・主任研究員 (20196695)
林 慎一 埼玉県立がんセンター, 研究室・主任研究員 (60144862)
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Keywords | コーホート研究 / 血清α_2-グロブリン / NK活性 / H. pylori / 肺がん / hnRNP B1 |
Research Abstract |
本研究の目的は、発がんメカニズムの個体差の理解とそれに基づいたがん予防を実現することである。すなわち、発がん高危険群の選別、予防効果の評価に有用な生体因子を見出し、がん予防に役立つトランスレーショナル研究を行う。平成14年度の主要研究成果は以下の通りである。 1.コーホート研究により、喫煙量とは独立に、血清α_2-グロブリンが喫煙者の発がんリスクを示すことを見出し、喫煙者及び禁煙者のがん予防において有用なリスクマーカー及び予防効果を判定する代理マーカーとなる可能性を示した。また、コーホート研究で測定したNK活性の個人差が、NK細胞の殺細胞メカニズムあるいは標的細胞のHLAクラスI分子の発現に依存しないことを示した。現在、NK活性が既知であるがん罹患群及び対照群について、HLAクラスIハプロタイプを中心とした遺伝的相関分析を進めている。 2.発がんの早期に関与する生体因子・環境の研究では、H. pyloriのTNF-α誘導因子であるHP-MP1のホモログ遺伝子をクローニングした(TNF-α inducing protein (Tip) gene)。Tipタンパク質の処理は、Bhas 42細胞でTNF-α mRNAの発現を強力に誘導し、形質転換を誘導した。この際、NF-κBが活性化された。Tipファミリータンパク質は、H. pyloriからの新規発がん因子と考えられる。 3.エストロゲン応答性遺伝子のカスタムチップが、乳がん患者のエストロゲン応答性の違いの層別化に有用であることを示した。 4.RNA結合蛋白質であるhnRNP B1は肺がん細胞特異的に高発現している。肺腺がんの前がん病変である腺腫様過形成では、早期腺がんや進行がんに比べ発現は低かった。hnRNP B1と細胞周期関連因子を組み合わせることにより、形態のみでは鑑別の困難な前がん病変と腺癌との鑑別の可能性を示した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Tominaga, M.: "Detection and discrimination of preneoplastic and early stages of lung adenocarcinoma using hnRNP B1 combined with the cell cycle-related markers p16, cyclin D1, and Ki-67"Lung Cancer. (In press). (2003)
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[Publications] Nakachi, K.: "Can teatime increase one's lifetime?"Ageing Res.Reviews. 44. 1-10 (2003)
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[Publications] Members of Prospective Studies Collaboration: "Age-specific relevance of usual blood pressure to vascular mortality : a meta-analysis of individual data for one million adults in 61 prospective studies"Lancet. 360. 1903-1913 (2002)
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[Publications] Fujiki, H.: "Involvement of TNF-α changes in human cancer development, prevention and palliative care"Mech.Ageing Develop.. 123. 1655-1663 (2002)
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[Publications] Nakamura, K.: "Comparative analysis of telomere lengths and erosion with age in human epidermis and lingual epithelium"J.Invest.Dermatol.. 119. 1014-1019 (2002)
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[Publications] Matsuyama, S.: "Estrogen receptor β (ER-β) is expressed in human stomach adenocarcinoma"J.Cancer Res.Clin.Oncol.. 128. 319-324 (2002)