2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12219202
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
竹縄 忠臣 東京大学, 医科学研究所, 教授 (40101315)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
末次 志郎 東京大学, 医科学研究所, 助手 (70345031)
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Keywords | 癌細胞 / 浸潤 / 細胞運動 / WAVE |
Research Abstract |
アクチン細胞骨格系の構築は低分子量G蛋白質であるRhoファミリーによって制御されていることが分かっている。まず遊走先端部でCdc42が活性化され、糸状仮足という直線状のアクチン線維できた突起を出し方向を探り、次ぎに、Racが活性化され葉状仮足というメッシュ状のアクチン線維を構築して推進力を発生させる。一方、細胞の後部ではRhoの活性化によりストレスファイバーを発達させて細胞の後部を退縮させる。つまり前方に向かって伸び、後方で縮むようにして移動すると考えられてきた。しかしどのような機序で遊走先端部で推進力を発生するようなアクチン構造ができるかは不明であった。我々はN-WASPがCdc42のシグナルを受けて活性化され、アクチン重合のマシーナリーであるArp2/3複合体を使って、細胞先端部で新たなアクチンの重合を促し糸状仮足形成を起こすこと、一方WAVEはRacによって活性化されArp2/3複合体を活性化して葉状仮足形成を引き起こすことを明らかにしてきた。更に詳しく機序を解析し、これらの蛋白質はいずれもC-末にVCA領域を有し、V領域に単量体アクチンを結合しCA領域にArp2/3複合体を結合して、アクチン重合の核を作り、アクチンの重合を引き起こすことを明らかにした。静止状態にあるアクチン細胞骨格はアクチン線維の端がキャッピング蛋白質で塞がれ、細胞が安定化されている。そこで細胞が刺激を受けて骨格の再編を生じ、遊走しようとする際にはキャップを外すか、アクチン線維を切断して新たなアクチン端を作り、そこからアクチンを伸ばす必要があると考えられていた。しかしこのような機序では先端部で見られる網目状のアクチンの線維は構築されないし、アクチン重合開始に時間がかかりすぎる。我々の見いだしたシステムではN-WASPやWAVEはすでにあるアクチン線維の側面に結合でき、Arp2/3複合体を使って、側鎖をのばすことができるため、新たなアクチン端を作らなくても刺激を受けて、急激な先端部でのメッシュ状のアクチン線維の構築を起すことができるという特徴を持っている。このような従来の概念とは異るアクチン重合機序の解明によって、いかにして細胞が先端部で推進力を発生し、遊走できるかが明らかになった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Suetsugu, S., Hattori, M., Miki, H., Tezuka, T., Yamamoto, T., Mikoshiba, K., Takenawa, T.: "Sustained Activation of N-WASP through Phosphorylation Is Essential for Neurite Extension"Dev Cell. 3. 645-658 (2002)
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[Publications] Nozumi, M., Nakagawa, H., Miki, H., Takenawa, T., Miyamoto, S.: "Differential localization of WAVE isoforms in filopodia and lamellipodia of the neuronal growth cone"J Cell Sci. 116. 239-246 (2003)
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[Publications] Ijuin, T., Takenawa, T.: "SKIP Negatively Regulates Insulin-Induced GLUT4 Translocation and Membrane Ruffle Formation"Mol Cell Biol.. 23. 1209-1220 (2003)