2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12219207
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松本 邦弘 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70116375)
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Keywords | EBウイルス / TAK1 / LMP1 / NF-κB活性化 / シグナル伝達 / TRAF6 / TAB2 / 癌 |
Research Abstract |
Epstein-Barr(EB)ウイルスは、多種の癌の原因となるウイルスである。EBウイルスの遺伝子のなかでlatent membrane protein(LMP1)は細胞膜に局在し、リガンドなしでCD40やtumor necrosis factor(TNF)に類似した細胞内シグナル(JNKやNF-κBの活性化)を誘導する。この恒常的シグナルの活性化が、癌の原因となるB細胞の不死化および上皮細胞の癌化に必須の役割をする。われわれはこれまでに、TAK1 MAPKKを同定し、TAK1がTAK1結合因子のTAB2とともはインターロイキン1(IL-1)シグナル伝達経路において、TRAF6と複合体を作り重要な役割を果たしていることを明らかにしてきた。一方最近、LMP1シグナル伝達経路でTRAF6が必須の役割を果たすことが明らかになった。しかし、TRAF6がどのようにJNKやNF-κBの活性化を引き起こすのかについては、これからの課題となっていた。そこで、今年度TAK1およびTAB2がLMP1シグナル伝達にもかかわるという仮説を立て検討を行った。これまでにLMP1とTRAF6の結合は詳しく検討されていなかった。そこで、TRAF6も含めてTAB2,TAK1とLMP1の相互作用を検討した。その結果、LMP1のN末端側の6回膜貫通領域にTRAF6,TAB2,TAK1のすべてが結合することが明らかになった。TRAF6-TAB1-TAK1の結合の役割を明らかにするため、LMP1のN末端側の6回膜貫通領域のみの変異型LMP1の機能を検討した。その結果、N末端側の6回膜貫通領域のみの変異型LMP1はほとんど全くNF-κBの活性化が出来ないが、JNKの活性能があることが明らかになった。このことは、TRAF6-TAB1-TAK1がJNKの活性化に働いている可能性を示唆する。そこで、TAK1のノックアウト細胞を用い、LMP1のシグナル伝達経路におけるTAK1の役割を検討した。TAK1野性型細胞ではLMP1はJNKを活性化できるの対し、TAK1ノックアウト細胞ではJNKの活性化が見られなかった。一方で、NF-κBの活性化は野性型とノックアウト細胞で変わりなく検出された。したがって、TAK1はLMP1によるJNKの活性化に必須の役割を果たしていると考えられる。
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Research Products
(1 results)