2001 Fiscal Year Annual Research Report
細胞増殖・分化及び細胞周期を制御するシグナル伝達の分子機構
Project/Area Number |
12219208
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西田 栄介 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (60143369)
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Keywords | MAPキナーゼ / ドッキング相互作用 / Plk1 / 細胞周期 / Cdc25C / 核内移行 |
Research Abstract |
細胞増殖及び細胞がん化の制御において重要な役割を果たしているMAPキナーゼカスケードにおける特異性の調節を解明する目的で、MAPキナーゼ分子のドッキング相互作用を詳細に解析した。多数の変異体の作製や化学架橋等の実験から、MAPキナーゼ分子の活性中心部位と離れた位置に存在する、CDドメインとED部位(とそれぞれ命名)を含む溝(groove)状の領域がMAPキナーゼの他の分子との相互作用の特異性決定の制御にとって重要であることをまず明らかにし、さらに、この溝状の領域がモジュール構造(負電荷領域/疎水性領域/負電荷領域)を形成し、それに対応してMAPキナーゼとドッキングする分子の側のドッキング部位もモジュール構造(正電荷領域/疎水性領域/正電荷領域)を形成していることを示した。したがって、MAPキナーゼ分子のドッキング相互作用は、静電的相互作用と疎水性相互作用によって制御されていることがわかった。 細胞分裂期の開始のマスター制御因子であるMPF(cdc2/サイクリンB1複合体)の細胞分裂期前期における核移行は細胞分裂の協調的進行にとって重要な事象である。我々は以前、Polo-like-kinase 1(Plk1)が、サイクリンB1のNES配列中のSer147をリン酸化し、その結果サイクリンB1(MPF)の分裂期前期での核内移行を起こすことを示した。今回、MPFのアクチベーターであるホスファターゼCdc25Cの細胞内局在を解析し、Cdc25CがNESによってG2期での細胞質局在が規定されており、分裂期前期に核移行することを示した。興味深いことに、Cdc25CのNES配列中のSer198をPlk1が分裂期前期にリン酸化することによって、Cdc25Cの核内移行の引き金が引かれることがわかった。すなわち、Plk1はMPFとそのアクチベーターの両者の分裂期前期での核内移行を同時に制御することによって、活性型MPFの細胞内局在を規定している調節因子であることが明らかとなった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Toyoshima-Morimoto, F. et al.: "Plk1 promotes nuclear translocation of human Cdc25C during prophase"EMBO Reports. (in press). (2002)
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[Publications] Bamba, C. et al.: "The GTPase Ran regulates chromosome positioning and nuclear envelope assembly in vivo"Current Biology. (in press). (2002)
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[Publications] Yamanaka, H. et al.: "JNK functions in the non-canonical Wnt pathway to regulate convergent extension movements in vertebrates"EMBO Reports. 3. 69-75 (2002)
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[Publications] Toyoshima-Morimoto, F. et al.: "Polo-like kinase 1 phosphorylates cyclin B1 and targets it to the nucleus during prophase"Nature. 410. 215-220 (2001)
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[Publications] Harada, T. et al.: "ERK induces p35, a neuron-specific activator of Cdk5, through induction of Egr1"Nature Cell Biology. 3. 453-459 (2001)
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[Publications] Tanoue, T. et al.: "Identification of a docking groove on ERK and p38 MAP kinases that regulates the specificity of docking interactions"EMBO Journal. 20. 466-479 (2001)