2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12219216
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉村 昭彦 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (90182815)
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Keywords | チロシンキナーゼ / STAT / SOCS / 炎症 / チロシンりん酸化 / 肝炎 / 肝がん / インターフェロン |
Research Abstract |
細胞増殖因子の受容体の多くは細胞内ドメインにチロシンキナーゼを内在しているかもしくはサイトカインの受容体のようにJAK型チロシンキナーゼが非共有結合によって会合している。慢性骨髄性白血病の原因遺伝子Bcr-Ablから明らかなようにチロシンキナーゼの恒常的活性化は腫瘍や白血病の発生、悪性化に密接に関連している。さらにその下流で働くRasおよびSTATは細胞内シグナル伝達系できわめて重要な位置を占める。一方サイトカインのシグナルは単に細胞増殖のみならず免疫系の制御を通じて発がんやがんの進展に重要な役割を担っている。また最近TNFなどの炎症性サイトカインとがん化についてNF-kB経路については多くの報告が見られる。我々はもう一方の炎症性サイトカインのシグナルに中心的な役割を果すSTAT転写因子群とその制御系であるSOCS分子、およびRas/MAPキナーゼ制御因子Sprouty/Spredファミリーとがんに関する研究を行ってきた。まず肝がんにおいてSOCS1は遺伝子のメチル化によって発現が低下するが、肝炎の前がん状態ですでに遺伝子のメチル化が起きていることを見い出した。また動物実験によってSOCS1遺伝子の発現低下が肝がんの発症率を上げることも確かめた。SOCS1は炎症とがん化を制御する新しいタイプのがん遺伝子であることが示された。またSpred-1がRhoと会合し細胞運動やがん細胞の転移を抑制することを見い出した。
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