2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12219218
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Research Institution | National Cancer Center |
Principal Investigator |
田矢 洋一 国立がんセンター(研究所), 研究所放射線研究部, 部長 (60133641)
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Keywords | RB蛋白質 / p53 / Mdm2 / Mdmx / E2F1 / クラスリン / 14-3-3 / Cdk |
Research Abstract |
RB経路とp53経路で働く蛋白質に関して解析を行った。MdmxはMdm2と共同作用してp53の活性をネガティブに調節すると考えられているがメカニズムは不明であった。このMdmxのSer367がリン酸化されると14-3-3蛋白質が結合し、Mdm2によってMdmxがユビキチン化されて分解され、p53が活性化されることを明らかにした。また、小胞体ストレスがp53依存性アポトーシスを阻害することを明らかにした。この阻害はグリコーゲン合成酵素3β(GSK-3β)でSer315とSer376がリン酸化されるとp53の細胞質における局在が増加することによって起きる。一方、エンドサイトーシスに際して、膜小胞の構造形成に重要な役割を演じることが知られているクラスリンの重鎖が核内にも存在してp53と結合し、p53の転写活性化能に必須の働きをするという全く予想外のことを発見したしていたが、クラスリンの軽鎖とp53とがクラスリンの重鎖のC末端領域への結合で競合することを明らかにした。 一方、Cdk4とCdk6は両方共サイクリンD依存性のCdkであり、両方ともG1/Sの境界線で働き、非常によく似ているので何が違うのか不明であった。しかし、我々は、RB蛋白質上のThr821とThr826のリン酸化がそれぞれCdk6とCdk4によってなされるという違いを初めて見出した。また、DNAダメージを細胞に与えると、E2F種のうちE2F1のみがRB蛋白質と強く結合するようになることを見出した。この時、RB蛋白質のSer612のリン酸化がこの複合体形成を促進することも発見した。しかも、このリン酸化はCdkインヒビターで阻害されないのでCdk以外のキナーゼによってなされると推定される。
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