2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12301007
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
秋山 弘子 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (10292731)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 勧 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (80134427)
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Keywords | 国際調査 / 国際比較統計 / 比較研究 / 調査方法 / 調査データ / データアーカイブ / 測定誤差 / サンプリング |
Research Abstract |
社会のさまざまな分野で国際的連携が急速に進み、21世紀は世界共同体の世紀とも言われる今日、調査データの国際比較が頻繁に行われるようになった。本研究の目的は、日本の調査データの国際比較可能性をめぐる諸問題を次のような段階を踏んで研究し、その成果を内外の調査データ利用者と共有することである。(1)社会調査の基盤をなすサンプリング、調査手法、構成概念、質問項目、反応バイアスにおける比較可能性について既存の国際調査データを検討して問題点を確認・整理する、(2)そうした問題の背景にある社会文化的要因と日本の調査環境や技法の特殊性を複合的な研究方法を用いて明らかにし、可能な解決法を提示する。(3)日本の調査データを国際比較に活用する人達のためのガイドラインを作成する。 上記の目的を達成するために、既存の国際データ及び関連資料の分析、フォーカス・グループ、ランダム・プローブ、潜在的連想テスト(IAT)による実験研究を行なった。サンプリングは各国で使用可能なsampling frame(例、住民台帳の有無)によって異なるが、統計的に調整可能である。データの公開にあたって、調整ソフトを添付することが望ましい。調査方法と調査票の内容は厳密な同等性を確保する必要がある。調査方法と調査項目の違いから生じる測定誤差と真の測定値の差は判別困難だからである。データ収集のコンピュータ化における日本の立ち遅れはデータの比較可能性を制限している。また、疾病名や家族構成(例、同居)などの極めて基本的な概念における文化間のズレ、鬱尺度や自尊感情尺度など多国で使用されている翻訳尺度における因子構造の違いや欠損値の量及び分布の差異が明らかになった。反応傾向の文化差は従来報告されているほど観察されなかった。
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