2002 Fiscal Year Annual Research Report
中高年期における職業からの引退過程と家庭、健康のダイナミクスに関する研究
Project/Area Number |
12301013
|
Research Institution | OBIRIN UNIVERSITY |
Principal Investigator |
柴田 博 桜美林大学, 文学部, 教授 (30154248)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉原 陽子 (財)東京都高齢者研究, 福祉振興財団・東京都老人総合研究所, 研究員 (80311405)
杉澤 秀博 桜美林大学, 大学院・国際学研究科, 教授 (60201571)
阿久根 英昭 桜美林大学, 文学部, 教授 (50167863)
|
Keywords | 適応 / 仕事の特質 / 中高年 / 就労 / 引退 |
Research Abstract |
1.調査結果紹介のためのパンフレットの作成と調査協力者への送付 パネルの対象者に対しては、今後も継続して追跡調査を実施する予定でいる。パネルからの脱落者をできるだけ少なくするために、調査結果を紹介したパンフレットを作成し、対象者に送付した。 2.解析結果 1)パネルからの脱落者の特性:パネルの代表性を検討するため、追跡調査における脱落者の特性を解明した。分析の結果、男女ともに都市度の高い地域に居住している者の方が、パネルから脱落する確率が高いこと、また男性では年齢が低い者、女性では日常生活動作に障害がある者、友人接触頻度が低い者が脱落する傾向が高いことが分かった。2)仕事の特質と心身の健康:「仕事の要求量」「自由裁量」「技術や能力の活用」のうち、中高年就労者の心身の健康維持に重要であったのは「仕事の要求量」であった。3)定年の心身の健康に与える効果:定年による職業からの引退は、精神的な健康や自尊感情、愁訴に対してマイナスの影響はなく、ストレスフルライフイベントとして位置づけられるようなイベントではない可能性が示唆された。4)転職に関する満足度の差異を予測する要因:転職の満足度は前職の職種によって違いがみられ、その満足度は「専門職」では相対的に高く、「ブルーカー職」では相対的に低いことがわかった。5)就労以外の社会貢献活動と生活習慣病の発症:社会貢献活動に従事することは生活習慣病の発症を有意に低下させることが明らかになった。6)家族内のイベントと心身の健康:男性にとっては、追跡期間中に家族が重大な病気やケガを経験した場合、女性では介護者になることによって、心身の健康が有意に低くなることがわかった。7)定年後の地域活動への参加の予測要因:男性で定年後に地域活動に参加する予測要因としては、定年前から社会活動に参加していることが有意に関連していることがわかった。
|