2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12301021
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
河瀬 正利 広島大学, 文学部, 教授 (30093743)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸田 裕之 広島大学, 文学部, 教授 (10093585)
安間 拓巳 広島大学, 文学部, 助手 (40263644)
古瀬 清秀 広島大学, 文学部, 助教授 (70136018)
西別府 元日 広島大学, 文学部, 助教授 (50136769)
安嶋 紀昭 広島大学, 文学部, 助教授 (40175865)
|
Keywords | 製鉄 / 中世荘園 / 伝統文化 / 歴史景観 |
Research Abstract |
本研究は、中国地方の古代から中世への歴史的な変遷過程のなかで、地域の人びとがどのように周囲の自然環境と適応し、調和しながら生産諸活動を営み、地域文化を発展させてきたかを探ることによって古代・中世村落の歴史的景観を復原することを目的としている。中国地方は、わが国の国家形成期には中国大陸・朝鮮半島から新しい生活技術や科学技術、文物の移入の重要なルートにあたっており、中国山地では鉄・鉄器生産技術、また、沿岸部域では海上交易ルートの開発や塩生産技術の発達などをうながした。中世には、原料に恵まれたことから鉄生産は著しい発達をみせ、さらには銀・銅の生産技術も進展した。沿岸部域での製塩技術も一段と改良され進展した。こうした人間の生活文化の歴史的な推移や生産技術の研究とともに歴史・美術・建築学資料や地理学、植物生態学資料などを総合した研究を進めることにより、当時の自然環境や歴史的景観を復原していこうとするものである。 研究では、まず、古代から中世にいたる集落遺跡の既存の調査資料の収集整理の方法の検討を行った。ついで古代から中世の村落の歴史的景観復元の基礎資料を得るために2箇所の遺跡の発掘調査を行った。太田川下流域の古墳時代〜古代の耕地開拓と社会構造の関係の解明のための古墳の構造・立地の調査、賀茂川下流域の竹原市では古代〜中世の領主支配の基盤となる荘園などの設置と産業技術の実態解明のための製鉄遺跡の調査を実施した。研究遂行のための大きな手がかりを得ることができた。また、中国地方と他地域の比較検討のために南九州地方や四国、近畿地方の村落遺跡の立地や文献、環境調査を行った。次年度以降、研究計画に基づき一層の調査研究を推進していきたい。
|
-
[Publications] 河瀬正利: "近世たたら吹製鉄の技術"製鉄史論文集. 229-250 (2000)
-
[Publications] 河瀬正利: "中世遺跡の調査と保存"中世遺跡調査研究報告. 1. 1-11 (2000)
-
[Publications] 安間拓巳: "古代の鍛冶遺跡"製鉄史論文集. 135-158 (2000)
-
[Publications] 岸田裕之: "八箇国御時代分限帳にみる毛利氏の朝鮮への動員体制"中国地域を中心とする東アジア社会との交流に基づく史的特質の形成とその展開. 65-86 (2000)
-
[Publications] 西別府元日: "九世紀前半の日羅交易と紀三津失使旨事件"中国地域を中心とする東アジア社会との交流に基づく史的特質の形成とその展開. 13-28 (2000)
-
[Publications] 河瀬正利: "廿日市町屋跡"廿日市町屋跡発掘調査団. 45 (2000)
-
[Publications] 古瀬清秀: "わが国における鍛冶の研究"広島大学文学部. 125 (2000)