2001 Fiscal Year Annual Research Report
海底の位置と海水の3次元速度構造の同時決定-海底測位の飛躍的向上をめざして-
Project/Area Number |
12304023
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
安藤 雅孝 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80027292)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田所 敬一 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (70324390)
山田 功夫 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60022670)
平原 和朗 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 教授 (40165197)
|
Keywords | 海底地殻変動 / 音響測距 / GPS / 南海トラフ / 駿河湾 / 静岡県水産試験場 |
Research Abstract |
駿河湾において繰り返し行なった音響測距-キネマティックGPSの実験によって,海底局の位置決定誤差を5〜6cmにまで軽減することに成功した.また,2002年2月から,駿河湾において長期繰り返し測定を行うための海底局の設置を行なった. システム全体の精度を評価するためには,キネマティックGPSの測位精度も議論しなければならない.GPSによる測位というと既に完成された技術のように思われがちだが,実はそうではない.キネマティックGPSの精度が保証されているのは,基線長がたかだか10km程度までである.したがって,南海トラフ等の陸から100km以上離れた海域での測距に使用する場合,どの程度の精度があるのかを充分に吟味しなければならない.この点を考慮して,「実験段階」においてキネマティックGPSの測位精度評価のためのGPS単独での実験も繰り返し行なってきた. 基線長別の精度評価を行うために,以下のように基準局と移動局を設置し,「基線長別誤差評価実験」を行なった: ・移動局 京都府宇治市,10m間隔のピラーの間でアンテナを移動させた ・基準局 移動局から9〜261km離れた6点に設置 実験の結果,以下の事柄が明らかになった: 1)基線長が長くなるにつれて系統誤差が2次関数的に増加することが明らかになった.特に,100kmを越えるような基線長は設定するべきではないことが示唆される.したがって,南海トラフ等の海溝軸付近で測位を行う場合には,中継船やブイを間に浮かべて,基線長を短くする工夫が必要であろう.これに関しては今後の課題である. 2)スタティック測位では,PDOP<5〜6のデータのみを使用して測位を行うのが通例であるが,キネマティック測位では,さらに条件を厳しくして,PDOP<3のデータのみしか用いてはならない.このことは,音響測距結果と組み合わせて海底局位置を決定する際のデータ選別に大いに役立つ情報である.PDOPの善し悪しは衛星配置に関係してくるので,予報暦を用いてあらかじめ衛星配置を把握し,観測計画を立てる必要があろう.
|
Research Products
(1 results)