2003 Fiscal Year Annual Research Report
波浪の発達・減衰と運動量・二酸化炭素などの海面フラックスに砕波が果たす役割
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12304025
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
増田 章 九州大学, 応用力学研究所, 教授 (60091401)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安田 孝志 岐阜大学, 工学部, 教授 (10093329)
松永 信博 九州大学, 総合理工学研究院, 教授 (50157335)
烏谷 隆 九州大学, 応用力学研究所, 助教授 (30150527)
植野 耕治 気象庁, 気象大学校, 助教授
田中 光宏 岐阜大学, 工学部, 教授 (70163582)
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Keywords | 風波の砕波 / 白波被覆率 / うねり / 二酸化炭素フラックス / 高精度数値シミュレーション / 海面粗度・海面抵抗係数 / 水面下の乱流 / 風波・うねりのスペクトル発展 |
Research Abstract |
今年度に行った研究をまとめると下記のとおりである。 1.順行するうねりが風波の発達を抑制する割合をChen and Belcherの仮説に基づき計算したところ,水槽実験結果と定量的な一致を見た。但し仮説の段階である。また,気象庁波浪予報モデルにうねりの減衰項を新たに導入したところ,これまで推算精度の悪かったハワイ沖太平洋でも波浪を精度良く推算できるようになった。 2.砕波を伴う強風下で有義波高の二倍程度の厚さの吹送流を計測し,この結果を基にその鉛直モデルを新たに提示した。また,渦無しの水面波を模擬する精密数値モデルに簡単な砕波モデルを組み込んだところ,砕波によるエネルギー滅衰について水槽実験や数値波浪予報モデルと良い一致を見た。 3.目に見える砕波である白波が海面を覆う割合を白波被覆率という。海上観測により,白波被覆率が風速の3乗に比例して急速に増加することを確認するとともに,白波被覆率が相対的に大きくなるのは(1)不安定成層期,(2)波浪減衰期,(3)うねりがなく風波のみの場合であることを見出した。 4.対馬・志賀島における二酸化炭素濃度の日変化・地域特性を明らかにするとともに,二酸化炭素海面フラックスを渦相関法で夏季に計測するには水蒸気・気温の影響を補正する必要があることを示した。また,風波の存在する水面における二酸化炭素フラックスを風洞水槽で精密に計測し,その気体交換速度が摩擦速度および吹送距離に依存することを見出すとともに,これを表す無次元表示の実験式を導いた。 5.海面における運動量フラックス(海面抵抗・水面粗度)に関する研究 (1)水槽実験に基づき表面張力・粘性係数依存性を含む無次元表示の新しい水面粗度実験式を提示した。 (2)新たに工夫した三法併用法を用いて,海上の運動量フラックス,海面粗度を信頼できる精度で計測した。 (3)その結果を基に従来の相矛盾する種々の無次元海面粗度実験式を統一する新しい表現を提示した。
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Research Products
(16 results)
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[Publications] Ueno, K., M.Deushi: "A new empirical formula for the aerodynamic roughness of water surface waves"Journal of Oceanography. 59. 819-831 (2003)
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[Publications] 鵜崎健一, 池畑義人, 松永信博: "補償流を伴わない吹送流におけるラングミュア循環流の特性"海岸工学論文集. 50. 421-425 (2003)
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[Publications] 小笠原敏紀, 久保田踊児, 安田孝志: "白波砕波を伴う強風時吹送流の平均水面直下の鉛直分布とそのモデル"海岸工学論文集. 50. 351-355 (2003)
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[Publications] 烏谷隆, 片山博之, 渡辺公彦: "夏季海上における渦相関法に対する熱輸送効果の評価"九州大学応用力学研究所所報. 125. 1-4 (2003)
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[Publications] Tanaka, M., N.Yokoyama: "Effects of discretization of the spectrum in water-wave turbulence"Fluid Dynamics Research. (in press). (2004)
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[Publications] 田中光宏, 横山直人: "水面波動乱流の数値的研究におけるスペクトルの離散化の影響について"京都大学数理解析研究所講究禄「非線形波動現象の数理とその応用」. vol1311. 40-51 (2003)
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[Publications] 津守博通, 杉原裕司, 増田章: "風波気液界面を通しての二酸化炭素交換量の測定"海岸工学論文集. 50. 101-105 (2003)
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[Publications] 石橋道芳, 丸林賢次, 渡辺公彦: "ロータリーエンコーダーを使用した風速計の交換回路"応用力学研究所技術職員レポート. 5. 35-38 (2004)
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[Publications] 石橋道芳, 丸林賢次: "炭酸ガス計測のための空気取り入れ口について -大気中の炭酸ガス濃度変化の長期計測-"応用力学研究所技術職員レポート. 5. 16-22 (2004)
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[Publications] 津守博通, 杉原裕司, 古寺大悟, 大賀崇史, 増田章: "風波気液界面におけるCO2交換速度の評価"水工学論文集. 48. 511-516 (2004)
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[Publications] 杉原裕司, 津守博通, 古寺大悟, 吉岡洋, 芹澤重厚, 増田章: "海面画像計測による空波被覆率の評価"九州大学総合理工学報告. 25(in press). (2004)
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[Publications] 鵜崎健一, 池畑義人, 松永信博: "リジッド・サーフィス・モデルによる1対のラングミュアー循環流のLES"水工学論文集. 47. 1303-1308 (2003)
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[Publications] 増田 章, 丸林賢次, 石橋道芳, 奥野 章: "津屋崎沖観測塔で観測した海上風乱流I.計測法と予備解析"応用力学研究所所報. 126. 23-39 (2004)
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[Publications] 丸林賢次, 石橋道芳: "水中のCO2計測装置の試作"応用力学研究所技術職員レポート. 5. 21-28 (2004)
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[Publications] 丸林賢次, 石橋道芳, 渡辺公彦: "小型三杯型風速計の試作 -エンコーダーを使用した風速計-"応用力学研究所技術職員レポート. 5. 29-34 (2004)
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[Publications] 丸林賢次, 石橋道芳, 渡辺公彦: "海上観測タワーでの計測について"応用力学研究所技術職員レポート. 5. 39-48 (2004)