2002 Fiscal Year Annual Research Report
ダイヤモンドアンビルセルと分析電顕による下部マントルの物質研究
Project/Area Number |
12304030
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
藤野 清志 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40116968)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富岡 尚敬 神戸大学, 理学部, 助手 (30335418)
三浦 裕行 北海道大学, 大学院・理学研究科, 講師 (70157436)
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Keywords | レーザー加熱DAC / 分析電顕 / ウルトラミクロトーム / MgSiO_3ペロブスカイト / CaSiO_3ペロブスカイト / ダブルペロブスカイト / 下部マントル |
Research Abstract |
本年は当科研費3年目の最終年にあたる.当科研費の主要備品であるレーザー加熱ダイヤモンドアンビルセル(DAC)装置については,YLFレーザーを用いた試料両面加熱法により100GPa,3000Kを超える圧力,温度下で物質合成を行い,比較的精度よく温度測定ができる条件がほぼ整った.一方,分析電顕による超高圧物質の解析法については,より正確な組成分析法として,ウルトラミクロトーム法により,厚さ約30nmに至る薄膜が作成できるようになり,その薄膜を用いてより信頼性のある化学分析値が得られるようになった. これらレーザー加熱DACと分析電顕の組み合わせにより,本年度は以下のような研究成果をあげることができた.これらは論文として,近々出版される予定である. 1)<MgSiO_3>ペロブスカイトへのFeとAlの固溶関係を調べるため,<(Mg_<0.8>Fe_<0..2>)SiO_3-Al_2O_3>系でゲルを出発物質に用いて,30-60GPa,1800-2000Kの条件でYLFレーザーによる両面加熱DAC実験を行った.生成相のMgペロブスカイトの組成を分析電顕で分析したところ,Al固溶量が増えるにつれてFeの固溶量も増加した.しかし,増加の割合はAlの方がより高かった.このことより,ペロブスカイト中で,<Mg^<2+>+Si^<4+>→2Al^<3+>>と<Mg^<2+>+Si^<4+>→Fe^<3+>+Al^<3+>>の2つの置換が起きていることが確認された. 2)CaSiO_3-CaTiO_3系のペロブスカイト相の高温高圧下における構造変化を調べるため,この系のガラスを出発物質に用いて6-30GPa,1800Kで高圧合成を行い,生成相を旅射光X線および分析電顕で調べた.その結果,この系では約13GPa以上で<CaSiO_3>から<CaTiO_3>にかけて立方晶,ダブルペロブスカイト,斜方晶の各ペロブスカイト相が存在し,中間組成付近のダブルペロブスカイト相は,高温高圧下では面心立方格子だが,室温になると単純立方格子に対称性が落ちることが判明した.
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[Publications] Jiang, D.: "High temperature X-ray diffraction study of enstatite up to the melting point"Journal of Mineralogical and Petrological Sciences. 97. 20-31 (2002)
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[Publications] Kubo, T.: "Mechanisms and kinetics of the post-spinel transformation in Mg_2SiO_4"Physics of the Earth and Planetary Interiors. 129. 153-171 (2002)
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[Publications] 三浦 裕行: "粉末X線回折データからモンテカルロ法により結晶構造を導くプログラム"日本結晶学会誌. 44. 392-395 (2002)