2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12304033
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中田 節也 東京大学, 地震研究所, 教授 (60128056)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安田 敦 東京大学, 地震研究所, 助手 (70222354)
藤井 敏嗣 東京大学, 地震研究所, 教授 (00092320)
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Keywords | 三宅島噴火 / 有珠山噴火 / 脱ガス過程 / 噴火のモデル / マグマ移動 |
Research Abstract |
本研究では、マグマの上昇および噴火におこるマグマの減圧・脱ガス・急冷過程によって、発泡、結晶作用メルトの組成変化が起こることに注目し、岩石学的にマグマの挙動を解読することを目的としている。これらの岩石学的解読をする上で、採取した試料の岩石学的特徴をより定量的に記載するために、走査電子顕微鏡の導入とそれに装備する検出器(高速度エネルギー分散型X線マイクロアナライザー)で解析を行うことを試みる。 本年度は、有珠山噴火と三宅島噴火という2つの絶好の研究対象となるイベントが起こった。我々はこれらの噴火の地質学的観測を行うとともに、それぞれの噴火の噴出物を採取した。また、それぞれの噴火のモデル構築を地球物理学および地球化学分野の研究者と共同で行った。有珠山に関しては、噴火に関与した噴出物を採取することができ、現在、発泡過程と結晶過程を岩石学的に解読中である。それによると、噴火に際して、結晶化は1段階でおき発泡は2段階で起こっていることが判明した。これは、地球物理学的に捕らえられている、噴火直前の段階的なマグマ移動挙動とよい一致を示している。三宅島噴火は、6月27日の海底噴火に引き続いて、水蒸気ないしマグマ水蒸気爆発を起こした。後者の噴火に関与したマグマ物質は顕著ではない。8月18日の最大規模の噴火では、火山弾様の噴石・火山岩塊が放出された。これに関して、古地磁気学的検討を行ったが、堆積時に高温であったという証拠は得られなかった。また、海底噴火の噴出物を採取し、その岩石学的特徴を既存の分析装置を使って検討した。 走査電子顕微鏡と附属検出器を導入し、来年以降の分析用に用いるため現在セットアップ中である。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Wooster,M.J.,T.Kaneko,S.Nakada,and H.Shimizu: "Discrimination of lava dome activity styles using satellite-derived thermal structures"Journal of Volcanology and Geothermal Research. 102(1-2). 97-118 (2000)
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[Publications] Nakada,S.: "Hazards from pyroclastic flows and surges"In Sigurdsson,H.(ed),"Encyclopedia of Volcanoes", Academic Press. 945-955 (2000)
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[Publications] 中田節也,清水洋: "雲仙普賢岳噴火と地下モデル"月刊地球. 22(4). 258-263 (2000)
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[Publications] 中田節也,星住英夫,清水洋: "科学掘削によって期待される成果"月刊地球. 22(4). 278-284 (2000)
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[Publications] 宇都浩三,中田節也: "雲仙火山および島原半島火山岩類のマグマ発達史"月刊地球. 22(4). 246-251 (2000)
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[Publications] 三部賢治,藤井敏嗣,安田敦: "マントルウエッジ中の水の移動と沈み込み帯における火山フロントの形成"地学雑誌. 109. 590-599 (2000)
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[Publications] 山下輝夫 編(中田節也,藤井敏嗣執筆分担): "大地の躍動を見る.新しい地震・火山像"岩波書店、岩波ジュニア新書359. 201 (2000)