2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12304033
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中田 節也 東京大学, 地震研究所, 教授 (60128056)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安田 敦 東京大学, 地震研究所, 助教授 (70222354)
藤井 敏嗣 東京大学, 地震研究所, 教授 (00092320)
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Keywords | 火山噴火 / 脱ガスプロセス / 三宅島 / 雲仙普賢岳 / 有珠山 / マグマの挙動 |
Research Abstract |
マグマの上昇および噴火におけるマグマの減圧・脱ガス・急冷過程において、マグマの発泡と結晶作用が起こり、その結果、メルトの組成や溶岩組織に変化が起こる。このことに注目し、本研究では、噴出物の岩石学的解析によって、噴火時のマグマの挙動を解読することを目的としている。本研究は、12年度の試料の採取と記載と分析、13年の分析と解析、そして本年度の解析結果に基づくモデル化作業からなっている。対象噴出物として、三宅島、諏訪之瀬島、有珠山、雲仙普賢岳を扱った。 三宅島や諏訪之瀬島の有史時代の噴出物を検討し、脱ガスに伴うマグマの発泡の様式を明らかにした。そこでは発泡度が40%程度までは泡の核形成が起こり続けるが、40%を越すと泡は成長檀家に入って発泡度を稼ぐ。異なる噴火様式を示すマグマ物質の含水量は0.3重量%以下であり、マグマが元々持っていた水の約90%失われた後に決められたことを示すかもしれないことが示唆された。 有珠山の2000年噴火の軽石の研究から、マグマの上昇速度がある程度推定され、2回の発泡現象が起こっている可能性が指摘される。発泡の異なるステージで冷却作用が起こったモデルが提案された。 雲仙普賢岳の1991-95年噴火においては、噴出した溶岩の性質と観測された低周波地震の位置の関係から、火道においてマグマの破砕が脱ガスに伴って発生していること。また、マグマの上昇速度が大きいほど、その破砕レベルが深いことが示された。このことから、大きな減圧速度に伴う大きな歪み率によって、より多くの水を含んだメルトが破壊されうるモデルが提案された。 マグマの脱ガスと破砕現象とは密接な関係にあり、破砕前の気泡の構造と破砕後のそれとは区別して取り扱う必要があることになる。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Kaneko T., M.J.Wooster, S.Nakada: "Exogenous and endogenous growth of the Unzen lava dome examined by satellite infrared image analysis"J.volcanol. Geotherm. Res.. 115. 151-161 (2002)
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[Publications] Geshi N., T.Shimano, T.Chiba, S.Nakada: "Caldera collapse during the 2000 eruption of Miyakejima volcano, Japan"Bull. Volcanology. 64. 55-68 (2002)
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[Publications] 鈴木由紀, 中田節也: "気泡組織・サイズ分布から見た有珠山2000年噴火でのマグマ上昇と発泡プロセス"火山. 47. 675-688 (2002)
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[Publications] Kaneko T., A.Yasuda, T.Ishimaru M.et al.: "Satellite hot spot monitoring for Janaese volcanoes : a prototype AVHRR based system"Advances Enviro. Monitor. Model.. 1・3. 153-166 (2002)
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[Publications] Yoshino T., K.Mibe, A.Yasuda, T.Fujii: "Wetting properties of anorthite aggregates : implications for fluid connectivity in continental lower crust"J. Geophys. Res.. 107. ECV10-1-ECV10-8 (2002)
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[Publications] Mibe K., T.Fujii, A.Yasuda: "Composition of aqueous fluid coexisting with mantle minerals at high pressure and its bearing on the differentiation of the Earth's mantle"Geochim. Cosmochi. Acta. 66. 2273-2285 (2002)
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[Publications] 中田節也(執筆分担): "東京大学地震研究所編集地球科学の新展開「マグマダイナミクスと火山噴火」鍵山恒臣編(1章,5章)"朝倉書店. 212 (2003)