2000 Fiscal Year Annual Research Report
常緑性・落葉性とその地理分布におよぼす樹木の葉のフェノロジーに関する研究
Project/Area Number |
12304047
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
菊澤 喜八郎 京都大学, 農学研究科, 教授 (50271599)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 昇 京都大学, 生態学研究センター, 助手 (50093307)
鈴木 力英 防災科学技術研究所, 地球フロンティア研究システム, 研究員
小池 孝良 北海道大学, 農学部, 教授 (10270919)
高田 壮則 北海道東海大学, 国際文化学部, 教授
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Keywords | 常緑性 / 落葉性 / 光合成速度 / 休眠 / 平均気温 / 地理分布 |
Research Abstract |
落葉広葉樹、常緑広葉樹、落葉針葉樹、常緑針葉樹の4つの基本類型について、葉フェノロジーの調査および光合成特性の変化について追跡調査を行った。 落葉広葉樹では一斉開葉型のブナと順次開葉型のオオバヤシャブシについて葉寿命の追跡調査と光合成速度の追跡調査を行った。ブナはオオバヤシャブシに比べて2倍の葉の寿命を持つが、光合成速度は1/2程度と低い。しかしその時間低下はゆっくりである。開葉様式と葉寿命、光合成速度の間には一定の連関が認められた。常緑性樹種間でも同様の傾向があり、葉寿命が1年程度と短いクスノキ、シャシャンポでは光合成速度は高いが、シイ、カシ、ソヨゴなどでは低いという傾向が見られた。また冬期間に光合成速度がゼロになり、完全に休眠していると思われるシイ、クスノキなどの樹種と冬期間でも温度が上がればいくらか光合成を行うことのできるソヨゴ、アラカシなどの樹種のあることが解った。落葉性針葉樹のカラマツ(グイマツ)は、シベリアにおいては、気温が上昇し、土壌凍結が融解すると同時に急速に光合成速度を高めるが、常緑針葉樹であるヨーロッパアカマツではカラマツ開葉前の短期間に越冬葉の光合成が起こる。ただし新葉の開葉は遅れる。以上から、単に、平均気温と夏冬の長さの比率だけでなく、冬から夏への移行の際の温度上昇の速度が常緑性落葉性の地理分布を規定する重要な要因であることが指摘された。すなわち春先に温度が急速に上昇すれば落葉性に有利であり、徐々に上昇すれば常緑性に有利であると予測できる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Umeki,K.& Kikuzawa,K.: "Patterns in individual growth, branch population dynamics, and growth and mortality of first-order branches of Betula platyphylla in northern Japan."Annals of Forest Science. 57. 587-598 (2000)
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[Publications] Suzuki,R.,Tanaka,S.& Yasunari,T.: "Relationships between meridional profiles of satellite-derived vegetation index (NDVI) and climate over Siberia."International Journal of Climatology. 20. 955-967 (2000)