2001 Fiscal Year Annual Research Report
砕波混入気泡と気泡連行乱れによる砕波気液界面でのガス交換機構の実態解明
Project/Area Number |
12305031
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
角野 昇八 大阪市立大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70047398)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉原 祐司 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 助手 (70243970)
江藤 剛治 近畿大学, 理工学部, 教授 (20088412)
朝位 孝二 山口大学, 工学部, 講師 (70202570)
細井 由彦 鳥取大学, 工学部, 教授 (50127859)
中村 由行 独立行政法人港湾空港技術研究所, 海洋水工部・沿岸生態研究室, 室長(常勤研究職) (90172460)
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Keywords | 砕波 / 気泡 / 物質移動係数 / 風波 / 海面境界過程 / 乱流モデル / 超高速ビデオカメラ / ボイドプローブ |
Research Abstract |
角野・重松・細井は、原子炉工学の分野で用いられているダブルセンサーを造波水槽内で発生させた砕波中でも用いることができるように改良を加えた。また、波動湯中に設置された没水水平孔あき板の再曝気機能について実験的検討を加えた。朝位は、気泡プルームと液相だけの噴流がガス交換係数にどのような相違を見せるのかを実験的に確認した。噴出近傍の流速で定義されるレイノルズ数で結果を整理したところ、気泡プルームによるガス交換係数は噴流によるそれよりも大きな値を示すことを明らかにした。江藤は、100万枚/秒で100枚以上連続上書き撮影できるビデオカメラを開発した。このカメラを用いて、これまで詳細が不明であった以下の一連の過程を撮影することに成功した。(1)水滴が水表面に当たり気泡が強制連行される過程(2)その後水膜が生成して水表面に泡が形成される過程(3)さらにその泡が壊れて多数の微小水滴が生成・飛散する過程。 杉原は、風波気液界面のガス交換係数を定量化するための実験的研究を行った。水表面近傍の乱流計測によって表面更新率を算定し、無次元表示されたガス交換係数の実験式を構築した。竹原は、気流還流造波水槽において、気流場と水流場を同時に画像計測することに成功した。気流場と水流場では流速のオーダーが全く異なることや、界面の屈折率変化や乱れなどにより、これまで両方の流れ揚を同時に撮影した例はほとんどない。これにより、気流が水面に衝突することにより水面から水中に向かうバースト的乱れを生成させる、などの運動が検出された。辻本は、沿岸構造物を活用して気体輸送を促進させるため既存のある種の海岸構造物の最適設計手法を提案した。また海藻のような揺動物質の水中での気体との関わりを検討するため、画像計測を用いて解析した。中村は、振動格子乱流場における乱流特性とガス交換係数の関係を数理モデルにより解析した。ガス交換係数の乱流レイノルズ数依存性がsmall eddyとlarge eddyが支配的な場合に異なることを理論的に示した。平口は、砕波や風速により変化するガス交換量を巨視的に評価するためには、海洋上での風や波浪の評価が重要となることより、西部北太平洋を対象として、海上風や波浪の算定法について検討した。森は、風波砕波による気泡径および気泡の流速を位相ドップラー流速計を用いて計測し、気泡径・鉛直分布のモデル化を行った。吉岡は、2001年7月から10月にかけて、和歌山県の田辺湾の観測塔で砕波連行気泡特性の現地観測を実施した。最後に、Moogは、以上の全体の成果を見渡しながら、砕波面での気体輸送のモデル化の方法について考究した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Kakuno, S. et al.: "The effect of bubbles on air-water oxygen transfer in the breaker zone"Gas Transfer at Water Surfaces/M. A. Donelan et al. eds.. 265-270 (2002)
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[Publications] Etoh, G.: "A CCD Image sensor of 1Mframes/s for Continuous Image Capturing 103 Frames"Digest of Technical Papers on 2002 IEEE International Solid-State Circuits Conference. 46-47 (2002)
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[Publications] 竹原幸生: "ヘリコプターを用いた実河川表面流の画像計測の試み"水工学論文集. 第46巻. 809-814 (2002)
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[Publications] 角野昇八, 辻本剛三, 塩崎禎郎, 中木原宏文, 重松孝昌: "消波性能からみた二重スリットケーソンの最適構造緒元の決定法の提案"海岸工学論文集. 第48巻. 696-700 (2001)
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[Publications] 杉原裕司, 津守博通: "気液界面における表面更新乱流の特性"水工学論文集. 第46巻. 529-534 (2002)
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[Publications] 吉岡洋, 田邊義隆, 高山知司: "沿岸水質のモニタリングに対するADCPデータの活用"日本沿岸域学会研究討論会2001講演概要集. 第14巻. 12-17 (2001)