2001 Fiscal Year Annual Research Report
高機能酸化物発光材料の作製と磁気共鳴による局所構造の解明
Project/Area Number |
12305045
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
中村 高遠 静岡大学, 工学部, 教授 (10022287)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 雅壽 新潟大学, 工学部, 助教授 (60092673)
高橋 直行 静岡大学, 工学部, 助教授 (50242243)
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Keywords | 磁気共鳴 / 高周波EPR / アルカリ土類金属アルミネート / 酸化亜鉛 / 長残光 / 紫外発光 |
Research Abstract |
(1)特異な長残光性をもつSrAl_2O_4:Eu,Dyについては、海外協力者(P.C.Rieidi, University of St. Andrews)の協力を得てEu(II)およびDy(III)の両者がSrサイトを占めることを高周波(90GHz)EPRによって明らかにした。そしてゼロ磁場分裂パラメータを比較からDyの周りの対称性が低いことを報告した。そこで、Dy周辺にホールトラップが存在することをEPRによって直接観察するため、EuをドープしないSrAl_2O_4およびSrAl_2O_4:Dyの光照射EPRを検討した。その結果、100Kでの光照射によってSr空孔にトラップされたホール、および[O_3-Al-O_3]^0が生成すること、光照射後に室温に放置するとそれらのトラップの信号が減衰することを明らかにした。そして、SrAl_2O_4とSrAl_2O_4:Dyの減衰曲線を比較して、前者では[O_3-Al-O_3]^0、後者ではSr空孔にトラップされたホールがゆっくり減衰することを見出した。このことからDyドープはSr空孔にトラップさせるホールの安定化に寄与すること、つまり、Sr空孔はDyを添加することによってその数が増加するだけでなく、安定化していることを見出した。 (2)高周波EPRによる希土類発光材料の評価をX-線輝尽蛍光体SrBPO_5:Euおよび光増幅Erドープガラスに応用した。そしてstillwellite型SrBPO_5結晶に高濃度のEu(II)をドープした場合、X-band EPR測定では判別できなかったEuサイトは、ゼロ磁場分裂が約0.15Tの低対称性の結晶場であることを明らかにした。一方、Erドープガラスでは、g=6.8付近に幅広いマイクロ波周波数が高くなる(X-およびQ-バンド)に従って共鳴が幅広くなり、W-バンドでは、共鳴線が消失した。このことからErがg-strainを受けていることが分かった。また、Erの濃度変化から高濃度になると結晶場の対称性が低くなることを明らかにした。 (3)ZnO薄膜については、原子層エピタキシャル成長に成功した。また、紫外線発光および緑色発光するZnO結晶のODMRおよびEPRを測定した。その結果、ODMRではまったく変化が見られなかったものの、本研究で紫外発光に成功したZnOは欠陥が極めて少なく完全結晶に近いことを実証した。
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[Publications] T.Nakamura, K.Kaiya, N.Takahashi, T.Matsuzawa, M.Ohta, C.C.Rowlands, G.M.Smith, P.C.Riedi: "High Frequency EPR Investigations of Gadolinium(III)-Doped Strontium Aluminates"Physical Chemistry Chemical Physics. Vol.3・No.3. 1721-1723 (2001)
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[Publications] 中村 高遠: "長残光蛍光体の常磁性共鳴"ディスプレイ. Vol.7・No.5. 32-42 (2001)
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[Publications] T.Takeyama, T.Nakamura, N.Takahashi, V.Beltran-Lopez, C.C.Rowlands: "Full Mote Carlo and Fourier Transformed Monte Carlo EPR spectral Simulations of ^8S State Ions in Polycrystalline Samples"The Third Asia-Pacific EPR/ESR Symposium Abstract. 1P46 (2001)
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[Publications] K.Omichi, K.Kaiya, T.Takahashi, T.Nkamura, S.Okamoto, H.Yamamoto: "Growth of ZnO Thin Films Exhibiting Room-Temperature Ultraviole Emission by Means of Atmospheric Pressure Vapar-Phase Epitaxy"J.Mater.Chem.. Vol.11. 262-263 (2001)
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[Publications] K.Omichi, T.Takahashi, T.Nkamura, M.Yoshioka, S.Okamoto, H.Yamamoto: "AP-HVPE growth of ZnO with room-temperature ultraviolet emission"J.Mater.Chem.. Vol.11. 3158-3160
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[Publications] K.Kaiya, N.Yoshii, K.Omichi, N.Takahashi, S.Okamoto, H.Yamamoto: "Atmospheric Pressure Atomic Layer Epitaxy of ZnO Using a Chloride Source"Chem.Mater.. Vol.13. 1952-1956 (2001)