Research Abstract |
本研究の目的は、測定例が非常に少ないダイオキシン類の低温における蒸気圧の精密測定および物理化学物性値のデータベース化、さらには、ダイオキシン類と種々の酸化物との吸着および反応機構を明らかにすることである。 本年度は、昨年度に引き続き、初年度に開発したクヌッセンセル熱重量質量分析システムを用いて、ダイオキシン類の低温における蒸気圧を測定した。昨年度は、DD、DF、OCDDおよびOCDFについて293Kから500Kの間で蒸気圧を測定したが、今年度は、1-MCDD,2,3-DCDD,1,6-DCDD,2,7-DCDD,1,2,4-TrCDD,1,2,3-TrCDD,1,7,8-TrCDD,1,3,6,8-TeCDD,1,3,7,9-TeCDD,1,2,3,4-TeCDD,1,2,6,7-TeCDD,1,2,4,7,8-PeCDD,1,2,3,4,6,9-HxCDD,1,2,3,4,6,7,9HeCDDの蒸気圧を293Kから500Kの間で測定し、クラウジウスークラペイロンの式を用いて、蒸気圧と温度の関係より昇華のエンタルピーを導出した。また、臭素系ダイオキシン類であるOBDDの蒸気圧も測定した。 量子化学計算により、臭素系ダイオキシン類(PBDD/Fs)および臭素化塩素化ダイオキシン類(PXDD/Fs)の生成自由エネルギーを求め、データベース化した。 活性炭、Fe_2O_3、Ca(OH)_2およびグラファイトのダイオキシン類吸着特性をクヌッセンセル法を応用することにより測定した。つまり、それぞれの粉末試料とOBDD粉末を混合し、クヌッセンセルを用いてOBDDの見かけの蒸気圧を測定することにより、吸着特性を評価した。その結果、活性炭では見かけの蒸気圧はゼロとなり、また、その結果を比表面積等を用いて解析した。
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