2001 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝的ゲノム再編成による近縁作物の病虫害抵抗性遺伝子群のパンコムギへの導入
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12306001
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
遠藤 隆 京都大学, 農学研究科, 教授 (60068830)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
那須田 周平 京都大学, 農学研究科, 助手 (10273492)
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Keywords | パンコムギ / ライムギ / オオムギ / うどんこ病 / さび病 / セカリン / ホーダチン / 抵抗性遺伝子 |
Research Abstract |
ライムギ1R染色体については、種子貯蔵タンパク質・セカリンω-Sect1、うどんこ病抵抗性遺伝子Pm8、さび病抵抗性遺伝子Lr26の遺伝子座が存在する付随体部分の断片がコムギ染色体に転座した5系統について、3種の遺伝子座の存在の有無を検定した。その結果、2系統には3遺伝子すべてが存在し、2系統にはPm8とLr26だけがあり、残り1系統はPm8だけを有することが明らかになった。Pm8とLr26だけを有する2系統は、小麦粉の品質にとって有害なセカリンを生産しないので、育種素材として利用できる可能性を持つ。現在、この2系統を日本のコムギ品種農林61号に戻し交配している。 ライムギ6R染色体については、うどんこ病抵抗性の接種検定を行ったが、全6R染色体を持つ系統でも期待された抵抗性が示されなかった。この原因として、抵抗性遺伝子が使用したうどんこ病原菌に対するものでなかったか、6Rのコムギ系統に6Rに座乗するうどん粉病抵抗性遺伝子に対する抑制遺伝子が存在するかが考えられる。現在、これらの可能性を調査中である。 オオムギ2H染色体については、その断片がコムギ染色体と転座したものを7系統得た。それらには正常な2H染色体も同時に存在したので、正常パンコムギで戻し交配し、その子孫から2H断片がヘミ接合になっている個体だけを選抜し、育成した。現在、それらの個体から種子を増殖し、2H断片ヘミ接合個体を多数得て、オオムギの抗菌活性のある2次代謝産物・ホーダチンの有無を検定する準備をしている。
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