2001 Fiscal Year Annual Research Report
DNAチップを利用した有害化学物質代謝動態の早期検出法の開発
Project/Area Number |
12307010
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
大前 和幸 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (60118924)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 宏 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (80217710)
西脇 祐司 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (40237764)
武林 亨 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (30265780)
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Keywords | DNAマイクロアレイ / 有害化学物質 / 代謝 / 種差 / トリクロロエチレン / ジクロロメタン |
Research Abstract |
有害化学物質の代謝動態を遺伝子レベルで検出するため、最初にマウスとラットの間で生体影響の種差が報告されているトリクロロエチレン(以下TCE)を選択し、in vivoでの曝露実験を行った。曝露方法は、1)曝露濃度の違いがどの程度検出されるかを観察する目的で行った、異なる2濃度のTCEの腹腔内単回投与実験。2)経時的変化を追跡する目的で施行した、最長2週間の経口投与実験である。曝露後、肝からmRNAを抽出してDNAチップ(Affymetrix社マウス:約6,000個の既知遺伝子、及び約6,000個のEST、ラット:約7,000個の既知遺伝子、及び約17,000個のESTを含む)へのハイブリダイゼーションを施行した。また同じmRNAを用いて、代表的な遺伝子発現を示した遺伝子に対し定量的PCR法によるmRNAの半定量を行い、DNAチップで観察された遺伝子発現が定量的PCR法でもほぼ再現が可能であることを確認した。DNAチップで観察された発現プロファイルは、クラスター解析ではコントロール群、低曝露群、高曝露群の群分けが可能であった。このことはDNAチップは曝露濃度を反映した遺伝子発現の変化を検出できることを意味する。よって遺伝子発現を全体として捉えるという観点からはDNAチップの有用性が示唆された。また、TCE曝露による遺伝子発現変化を時系列で追って観察したところ、TCEが属するペルオキシゾーム増殖薬によって誘導されることが報告されている遺伝子の発現増加が観察された。 また、遺伝子発現に変化が見られた遺伝子に対する相同遺伝子のリストをマウス、ラット、ヒト対して作成し、種差の比較解析を試みている。 更に、第2の化学物質としてマウスとラットの間で変異原性に種差があると報告されているジクロロメタンを選択し、マウス及びラットに対して吸入曝露実験を行いその遺伝子発現プロフアイルの解析を行っている。
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