2000 Fiscal Year Annual Research Report
全ゲノムスキャンによる内因性精神病の感受性遺伝子群の同定
Project/Area Number |
12307020
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
吉川 武男 理化学研究所, 分子精神科学研究チーム, チームリーダー(研究職) (30249958)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大野 真一 理化学研究所, 分子精神科学研究チーム, テクニカルスタッフ(研究職)
山田 和男 理化学研究所, 分子精神科学研究チーム, テクニカルスタッフ(研究職) (10322695)
海老原 充 理化学研究所, 分子精神科学研究チーム, 研究員 (80232974)
有波 忠雄 築波大学, 基礎医学系, 助教授 (10212648)
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Keywords | 内因性精神病 / 精神分裂病 / 感情病 / 全ゲノムassociation scanning / 染色体18番 / IMPA2遺伝子 / 学習性無力ラット / gene chip |
Research Abstract |
本研究の目的は、内因性精神病(精神分裂病、感情病)の発症に関与する遺伝子群を系統的に探索することにある。 (1)精神分裂病に関しては、家系を用いて各マーカーの伝達様式を調べる全ゲノムassociation scanningを目指している。このための家系を119家系、総勢357人収集した。染色体5,6,9,10,17番に関しては10cM密度のマイクロサテライトマーカーによるジェノタイピングが終了した。染色体11番と18番に対しては5cM密度のタイピングが終了した。これらのうち染色体18番のデータはTDT/S-TDTによる解析も終了し、短腕から動原体にかけて位置するD18S53とD18S56のマーカーで有意なP値を得た。この領域から我々はmyo-inositol monophosphatase 2(IMPA2)という新規遺伝子をクローニングしたが、この遺伝子の突然変異スクリーニングを行った結果合計10個のSNPs(single nucleotide polymorphisms)を同定した。このうち3個のSNPsを用いて分裂病群と正常群で関連研究を行ったところ3つとも分裂病に有意な関連が認められた。今後の分裂病研究は、a)IMPA2遺伝子のSNPsの関連が分裂病家系を用いたTDT/S-TDT解析で再現されるか調べる、b)IMPA2遺伝子周囲から高密度マーカーを単離し分裂病家系で系統的に感受性領域を絞って行く、c)他の染色体のゲノムスキャンも精力的にすすめる、の3点を遂行していく。 (2)感情病も家系収集を目指しているが、研究期間内に確実に達成できる目標として動物モデルからのアプローチも取り入れた。我々はラットで効率よく学習性無力を作成するのに成功した。学習性無力はうつ状態の慢性生理学的変化を解明するのに適している。学習性無力ラットと対照群ラットから脳を切り出し、RNAを抽出してgene chipを用いて大規模に遺伝子発現を比較した。その結果両群で2倍以上発現レベルの異なる遺伝子を80個近く同定した。今後は、a)発現レベルに差のある遺伝子の脳内分布をin situ hybridizationを用いて調べる、b)機能上重要な遺伝子につきヒトでのオルトローグ遺伝子の突然変異スクリーニングをして、見いだされた多型を用いてヒト感情病での関与を調べる、の2点を目標とする。
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[Publications] Yoshikawa,T. et al.: "Genomic Structure and novel variants of myo-inositol monophosphatase 2 (IMPA2)."Molecular Psychiatry. 5. 165-171 (2000)
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[Publications] Toyota,T.,Yoshikawa,T. et al.: "Association study on the DUSP6 gene, an affective disorder candidate gene on 12q23, Performed by using fluorescence resonance energy transfer-based melting curve analysis on the LightCycler."Molecular Psychiatry. 5. 489-494 (2000)
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[Publications] Toyota,T.and Yoshikawa,T.: "Use of the LightCycler in molecular psychiatry."Molecular Psychiatry. 5. 461 (2000)
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[Publications] Yoshikawa,T. et al.: "Evidence for association of the myo-inositol monophosphatase 2 (IMPA2) gene with schizophrenia in Japanese samples."Molecular Psychiatry. (in press).
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[Publications] Arinami,T.,Ohtsuki,T.,Takase,K.,Shimizu,H.,Yoshikawa,T. et al.: "Screening for 22q11 deletions in a schizophrenia population."Schizophrenia Research. (in press).
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[Publications] Toyota,T.,Yoshikawa,T. et al.: "Karyotype analysis of 161 unrelated schizophrenics : no increased rates of X chromosome mosaicism or inv(9), using ethnically matched and age-stratified controls."Schizophrenia Research. (in press).
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[Publications] 吉川武男,豊田倫子: "精神疾患感受性遺伝子地図.松下正明総編集、臨床精神医学講座S11 精神疾患と遺伝神疾患感受性遺伝子地図"中山書店. 21 (2000)