2001 Fiscal Year Annual Research Report
老化抑制遺伝子Klothoの骨軟骨および脊髄疾患における関与 -ヒトklothoの遺伝子のcSNPsとアデノウイルスベクターを用いた検討-
Project/Area Number |
12307031
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 耕三 東京大学, 医学部・附属病院, 教授 (60126133)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 栄 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (50282661)
星地 亜都司 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (70236066)
川口 浩 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (40282660)
永井 良三 東京大学, 医学部・附属病院, 教授 (60207975)
小柳 清光 東京都神経科学総合研究所, 主任研究員
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Keywords | Klotho / 遺伝子解析 / 老化 / 骨 / 網膜 / 神経 |
Research Abstract |
1.昨年度のklotho欠損マウスの脊髄の解析に続いて、網膜、前根の解析を行った。電顕所見において網膜の色素上皮細胞に空洞が見られ、これは加齢性変化と同様の所見であった。 2.Klotho欠損マウスにおいて起こっている骨代謝回転の低下に対するアデノウイルスベクターの標的細胞を同定する目的で、klothoマウスで現象が確認されている骨髄Bリンパ球[B(+)細胞]が、破骨細胞前駆細胞となる可能性について検討した。RANKLの存在下で特に未分化なBリンパ球からB(-)細胞と同程度の破骨細胞が形成された。昨年までの結果と合わせると、骨髄Bリンパ球の中でも分化の進んだものがRANKLを産生して破骨細胞形成支持能を持つのに対して、未分化なものは破骨細胞前駆細胞として機能しうる可能性が示された(Manabe N, et al. J Immunol 167:2625, 2001)。破骨細胞の中には従来のCFU-GM由来のものの他に、Bリンパ球から形成される破骨細胞が存在し、klothoマウスに見られる骨代謝回転の低下に関与していることが推測された。 3.ヒトのゲノム解析としては、ヒトklotho遺伝子座においてSNPsのスクリーニングを日本人と英国在住白人女性のサンプルを用いて行った。更に、日本人と英国人に共通に見られた3カ所のSNPsに関して、日本人閉経後女性364例、英国人女性1,187例においてそれぞれ骨密度(BMD)とのassociation studyを行った。日本人閉経後女性においては、promoter領域(-395G->A)およびexon4 (1818C->T)がBMDと有意な相関を示した。一方、英国人においては、加齢とともにその相関は強くなり、65歳以上の高齢群では、1818C->T SNP (P=0.010)と-395G->A SNPにおいてもBMDとの間に有意な相関が認められた(P=0.001)。以上の結果は、ヒトklotho遺伝子が人種差を超えて加齢に伴う骨密度の変化に関与している可能性を示唆するものと言える。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Noriyo Manabe: "Connection between B-lymphocyte and osteoclast differentiation pathways"Journal of Immunology. 167. 2625-2631 (2001)
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[Publications] Naoshi Ogata: "Association of klotho gene polymorphism with bone density and spondylosis of the lumbar spine in postmenopausal women"Bone. (in press).
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[Publications] 川口 浩: "骨粗鬆症と老化"医学のあゆみ. 198(9). 559-562 (2001)
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[Publications] 川口 浩: "klotho遺伝子の骨粗鬆症への関与"ホルモンと臨床. 増刊号. 62-68 (2000)