2001 Fiscal Year Annual Research Report
前立腺癌におけるアンドロゲン非依存性プログレッション関連遺伝子の同定と遺伝子治療
Project/Area Number |
12307035
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
佐藤 直秀 帝京大学, 医学部, 講師 (50287017)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市川 智彦 千葉大学, 医学部, 助教授 (20241953)
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Keywords | 前立腺癌 / アンドロゲン非依存癌 / プログレッション / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
本年度は動物モデルと臨床検体におけるアンドロゲン非依存性プログレッションを促進する遺伝子の同定を目的に実験を行った。 1)アンドロゲン感受性ヒト前立腺癌細胞株LNCaPは、単独では雄ヌードマウス皮下に移植しても造腫瘍性を示さないがマトリゲルと混合して注入すると、約2ケ月後に直径1cmの腫瘍を形成する。担癌マウスから採血すると、LNCaP細胞の産生する前立腺特異抗原(PSA)を測定できる。この担癌マウスを去勢するとPSAは一時的に下降するが、2週間を過ぎるとやがてアンドロゲン非依存性プログレッションをおこし、PSAは自律性に増加を続ける。このLNCaP腫瘍モデルの去勢前(アンドロゲン依存癌)と去勢後4〜5週(アンドロゲン非依存癌)の腫瘍からmRNAを抽出し、遺伝子発現の差異を検索した。ヒト体細胞のcDNAライブラリー由来のDNAチップを用いてハイブリダイズさせ、DNAチップ読み取り装置で解析した。去勢後4〜5週のみで発現しているmRNAは非依存性プログレッションを促進する遺伝子である可能性が強いと考えられるが、現在のところ有意な遺伝子は確定できていない。 2)帝京大学市原病院でインフォームドコンセントを得られた前立腺癌患者で、内分泌療法施行前(アンドロゲン依存癌)と再燃後(アンドロゲン非依存癌)に、超音波ガイド下経直腸的前立腺針生検を行い組織を得て、1)と同様にアンドロゲン依存・非依存癌の遺伝子発現の差異を同定する計画であった。臨床病期D2の5名・D1の3名・Cの2名の合計10名の患者の内分泌療法施行前の組織からmRNAを抽出し保存してあるが、いずれも再燃に至っていないためアンドロゲン非依存癌からのmRNAが抽出できていない。従って、臨床検体においてはDNAチップ読み取り装置での解析に進めなかった。来年度中に再燃を来した症例については解析を進めていく予定である。
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