2002 Fiscal Year Annual Research Report
前立腺癌におけるアンドロゲン非依存性プログレッション関連遺伝子の同定と遺伝子治療
Project/Area Number |
12307035
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
佐藤 直秀 帝京大学, 医学部, 講師 (50287017)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白澤 浩 千葉大学, 医学部, 教授 (00216194)
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Keywords | 前立腺癌 / アンドロゲン非依存癌 / プログレッション / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
本年度は動物モデルと臨床検体におけるアンドロゲン非依存性プログレッションを関連遺伝子の同定を目的に実験を行った。 1)アンドロゲン感受性ヒト前立腺癌細胞株LNCaPを、マトリゲルと混合して雄ヌードマウス皮下に注入移植するLNCaP腫瘍モデルを用いて、プログレッション関連遺伝子について検討した。この担癌マウスを去勢すると、ヒトLNCaP細胞由来の血清前立腺特異抗原(PSA)は一時的に下降するが、2週間を過ぎるとやがてアンドロゲン非依存性プログレッションをおこし、PSAは自律性に増加を続ける。このLNCaP腫瘍モデルの去勢前(アンドロゲン依存癌)と去勢後4〜5週(アンドロゲン非依存癌)の腫瘍からmRNAを抽出し、遺伝子発現の差異をDNAチップ読み取り装置で解析した。プログレッションに伴い発現が増強する遺伝子群(I群:プログレッション促進遺伝子)は15〜20種類、発現が減弱する遺伝子群(II群:プログレッション抑制遺伝子)は8〜10種類ほど候補にあげられた。今回はII群遺伝子の候補の中でKAI1/CD82遺伝子に注目した。同遺伝子はアンドロゲン非依存癌での発現が約1/3〜1/5に、しかも経時的に減弱していた。そこで、同遺伝子が本当にアンドロゲン非依存性プログレッションを抑制するかを確認する目的で、同遺伝子発現アデノウイルスベクターを作製した。現在、LNCaPやPC3細胞への導入効率につき検討中である。 2)帝京大学市原病院でインフォームドコンセントを得られた前立腺癌患者で、内分泌療法施行前(アンドロゲン依存癌)と再燃後(アンドロゲン非依存癌)に、超音波ガイド下経直腸的前立腺針生検を行い組織を得て、アンドロゲン依存・非依存癌の遺伝子発現の差異を同定する計画であった。平成14年度までに、臨床病期D2の6名・D1の3名・Cの3名の合計12名の患者の内分泌療法施行前の組織からmRNAを抽出した。そのうち病期D1とCの2名の患者が再燃したため前立腺針生検を行いmRNAを抽出した。現在DNAチップ読み取り装置での解析を進行中であるが、有意な変動を示す遺伝子群はまだ確定できていない。
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