2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12308005
|
Research Institution | (財)元興寺文化財研究所 |
Principal Investigator |
伊藤 健司 (財)元興寺文化財研究所, 保存科学センター, 研究員 (00176330)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 智恵美 (財)元興寺文化財研究所, 保存科学センター, 研究員 (40175104)
植田 直見 (財)元興寺文化財研究所, 保存科学センター, 研究員 (10193806)
村田 忠繁 (財)元興寺文化財研究所, 保存科学センター, 研究員 (50210042)
雨森 久晃 (財)元興寺文化財研究所, 保存科学センター, 研究員 (70250347)
塚本 敏夫 (財)元興寺文化財研究所, 保存科学センター, 研究員 (30241269)
|
Keywords | 保存処理後遺物 / 経年調査 / 保存処理方法 / 保管環境 / 現地調査 / データベース / 取り扱い / 長期安定性 |
Research Abstract |
本研究は4ヵ年度継続であることから、初年度である今年度は経年調査を開始するにあたり、全国の主な公共機関(外郭団体を含む)に調査時期、保存処理後遺物の変化の有無、保管環境などの調査票を送付し回答を得た。 回答データの検討を研究分担者で協議したところ、変化の生じているまたはその可能性がある判断した遺物を保管している機関が多数あり、当初に計画した調査地域を勘案ながら緊急に調査すべき機関から現地調査を行うことした。 現地調査では保管環境・遺物に関する情報・処理方法・具体的な変化の状況などをデータし、処理履歴などのデータや現状写真などとあわせて、データベース化を実施した。 現在まで行った現地調査で変化の生じている遺物の原因を概観すると、保存処理方法・取り扱い・保管環境・収蔵、展示施設・資料管理者の保存処理に対する意識や処理担当者の遺物への認識などが考えられる。なかでも取り扱いの不注意により切損や破損した遺物や高温高湿度化の保管された結果、薬剤や樹脂が染み出した遺物が多く認められた。なお一部の遺物はサンプリングを行い、落射蛍光顕微鏡などで分析を実施しデータ化を計った。 来年度以降で少しでも多くの処理済遺物のデータ量を増すことが、その原因や問題点の実態の把握をより正確なものとすると同時に、近年開発された処理方法の長期安定性も調査しているが、まだ処理例を実見する機会が少ないため、来年度以降行う調査で合わせて検討したい。
|