2002 Fiscal Year Annual Research Report
脳内局所血流動態測定による学習場面における脳機能分析
Project/Area Number |
12308008
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
前迫 孝憲 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (00114893)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小池 敏英 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (60251568)
西端 律子 大阪大学, 人間科学研究科, 助手 (20249816)
菅井 勝雄 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (40000294)
加藤 俊徳 (財)濱野生命科学研究財団, 主任研究員(研究職)
市川 祝善 (株)日立メディコ, 技術研究所, 副技師長(研究職)
|
Keywords | NIRS / 近赤外分光法 / 脳機能 / 学習 / ヘモグロビン |
Research Abstract |
本研究は、脳内局所血流動態から、学習機能に関連する脳活動を測定するシステムの開発・改善を行うと共に、測定データと従来の生理データとの関係把握を通して、学習に関連する認知・発達・記憶過程の測定・分析と学習場面への活用を図ることを目的とした。 近年、脳の局在機能の分析に進展が見られる一方、その意義も問われつつある。さらに、本研究遂行中には脳機能と教育に関する国際共同研究が行われるなど、新たな流れが生まれつつある。このような中でNIRS(近赤外線酸素分光分析装置)の測定モデルの構築やfMRIとの比較、学習に関連すると考えられる各種の課題実行時の脳皮質表面の酸素化・脱酸素化ヘモグロビン濃度測定を行った。その結果、fMRIからは、静脈などある程度の大きさを持つ血管中のデータが得られているのに対し、NIRSでは実際の脳活動を活発に行っている脳表近傍の毛細血管部分のデータが直接、得られている可能性を示した。さらに、脳内の局所的活動のみならず、活動部位の時間的な推移や相互に協調していると思われる活動が重要な意味を持っていることが明らかになり始め、創造的な画像を思い描いている時の言語野の活動など、興味ある結果も集まってきた。また、安定した測定を行うために、あらかじめBroca野を中心に言語野や運動野などを個別に求める簡素な方法等についても検討を行った。 また、NIRSの本来の分解能である数cmに対して、fMRIと連携させた測定プローブの設置位置の選択により、一桁近い高分解能が得られる可能性を示した。今後、教育分野においても脳機能測定データとの関連が重要になると予想されるが、その先駆けとなる基本的かつ重要な結果が得られたものと考える。
|
-
[Publications] 加藤俊徳: "脳機能の局在化とFunctional MRIの決定力"脳神経外科. 30(7). 685-700 (2002)
-
[Publications] 村井護晏, 魏 強: "脳の活動域と脳波の関係についての実証的研究-理科ディベート中の脳波活動から-"理科教育学研究. 43(2). 45-50 (2002)
-
[Publications] 小池敏英: "機能的ベッドサイド近赤外線トポグラフィー法による前頭前野のヘモグロビン濃度変化の検討-実行機能課題の遂行中の特性-"臨床脳波. 44(12). 765-772 (2002)
-
[Publications] 小池敏英, 前迫孝憲, 加藤俊徳: "NIRSによる単語順唱時のBroca野血流動態の検討"第32回日本臨床神経生理学会学術大会. 307 (2002)
-
[Publications] 田中さやか, 江田英雄, 今井亜湖, 黒田恭史, 前迫孝憲, 菅井勝雄: "NIRSを用いた学習活動時の脳活動計測についての一研究-線描画活動の練習に関連した脳活動の変化-"日本教育工学会第18回大会講演論文集. 681-682 (2002)
-
[Publications] 小池敏英, 雲井未歓, 大川佳美, 成基香, 前迫孝憲, 加藤俊徳: "言語課題遂行時の血流動態の測定によるBroca野の同定"生理心理学と精神生理学(第20回日本生理心理学会大会). 20(2). 177 (2002)