2003 Fiscal Year Annual Research Report
星形成領域における円偏光と生命のホモカイラリティー
Project/Area Number |
12309010
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Research Institution | NATIONAL ASTRONOMICAL OBSERVATORY OF JAPAN (NAOJ) |
Principal Investigator |
田村 元秀 国立天文台, 光学赤外線天文学・観測システム研究系, 助教授 (00260018)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
周藤 浩士 国立天文台, ハワイ観測所, 助手 (50300710)
海部 宣男 国立天文台, 台長 (50011630)
長田 哲也 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (80208016)
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Keywords | 赤外線 / 星・惑星形成 / 偏光 / カイラリティー |
Research Abstract |
本研究の目的は、銀河系内の多数の星形成領域における偏光の卓越性を調べること、及び、マゼラン星雲内の星形成領域における偏光を検出することによって、生命のアミノ酸の左旋光性などに見られるホモカイラリティーが地球外起源であることの天文学的データの蓄積を目指すものである。そのために本研究では天体からの偏光を測定するための偏光器を製作する。前年度までに、赤外線偏光器と可視光超精密偏光器の開発・製作を終了した。 平成15年度は製作した偏光器を実際に望遠鏡に取り付けで観測を行った。赤外線偏光器は、3段構成の回転部分とスライド部分からなる機構を持つ。1/2波長板と1/4波長板の組み合わせを行い、より精密な円偏光観測を可能にする構造になっている。赤外線観測はすばる望遠鏡に取り付けて行った。補償光学を用いた高解像度観測についてはその性能を発揮したデータが得られ、原始惑星系円盤に起因する直線偏光を空間的に分解して描くことが可能になった。これは円偏光を生み出す散乱場としての原始惑星系円盤における偏光の直接観測といえるだろう。その科学的成果については数天体について出版を準備中である。しかし、観測条件が足りなかったため多くの天体を観測することできず、今後共同利用などで観測を進めることと、南天での小口径望遠鏡による観測を計画している。一方、空間解像度よりも高精度偏光観測に重点を置いた超精密偏光器はハワイ大学2.2m望遠鏡に持ち込んで観測を行った。これは、PEMを用いた高変調型の偏光器で、スカイ偏光の差し引きも可能であり、目標とする10(-6)未満の偏光観測精度を達成できた。これについても、2004年の春にWHTの望遠鏡時間を確保し、多数の天体の観測を進めることが決まっている。今後の観測の継続により偏光の普遍性を統計的に示すことを目指す。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Tamura, M., Suto, H.他: "Near-infrared polarimeter for the Subaru telescope"Proceedings of SPIE. 4843. 190-195 (2003)
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[Publications] Hough, J., Lucas, P., Bailey, J., Tamura, M.: "A high sensitivity polarimeter for the direct detection and characterization of extra-solar planets"Proceedings of SPIE. 4843. 517-523 (2003)
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[Publications] Nakajima, Y. 他: "Deep Imaging Observations of the Lupus 3 Cloud : Dark Cloud Revealed as Infrared Reflection Nebula"Astronomical J.. 125. 1407-1417 (2003)
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[Publications] Greaves, J. et al.: "A submillimetre imaging polarimeter at the James Clerk Maxwell Telescope"Monthly Notices Roy.Astron.Soc.. 340. 353-361 (2003)
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[Publications] Fukagawa, M., Tamura, M.et al.: "Near-Infrared Imaging of the Circumstellar Disk around Herbig Ae Star HD 150193A"Astrophysical J.. 590. L49-L52 (2003)
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[Publications] Murakawa, K., Tamura, M., Suto., H.et al.: "Near-infrared high resolution imaging polarimetry of the Red Rectangle"Proceedings of SPIE. 4843. 196-199 (2003)