電子の関与した機能材料開発のための新しい構造解析システムの開発

2001 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 12355001
• Research Institution: Nagoya University
• Principal Investigator: 坂田 誠 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (40135306)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 原田 仁平 理学電機(株), X線研究所, 所長 ; 西堀 英治 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助手 (10293672) ; 高田 昌樹 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (60197100) ; 田中 宏志 島根大学, 総合理工学部, 助教授 (10284019)
• Keywords: マキシマムエントロピー法 / 近似結晶 / マンガン酸化物 / 遺伝的アルゴリズム / チタン酸鉛 / 電子密度分布 / 結晶構造解析 / 構造決定

Research Abstract

電子の関与した機能材料開発のための新しい構造解析システムの中心的コンポーネントであるMEM/Rietveld(マキシマムエントロピー解析/リートヴェルト解析)法およびマキシマムエントロピー法は、全くの未知構造物質に対しては適用できない。単結晶に関しては、未知構造物質の構造を直説法など比較的容易に構造決定する方法が確立しているので、特に、問題はない。しかし、粉末試料では構造決定が困難で、この点が、本システムとして、非常に大きな欠陥になる恐れがある。特に、機能材料の開発段階では、粉末試料しか得られない場合も多く、この欠点の克服が求められる。本研究ではこの点を改善するために、伝統的な直説法ではなく、コンピューターの進歩により急速な発展を遂げてるDirect Spaceによる方法を開発することとした。そのため、Direct Space法のうち遺伝的アルゴリズム(GA : Genetic Algorism)の開発を本年度は手懸けた。まだ、論文を公表する段階には至っていないが、既に、未知構造物質の構造決定に成功している。今後も、GAに限らず、他のDirect Space法を開発していく予定である。
MEM/Rietveld(マキシマムエントロピー解析/リートヴェルト解析)法あるいはマキシマムエントロピー法による結晶内の電子を可視化による電子レベルでの構造解析は、順調に推移している。近似結晶AlMnSiの結合状態を明らかにしたり、強誘電体PbTiO_3の強誘電性の起源を強誘電的相転移前後の電子構造の差から明らかにしたりすることに成功し、両者ともPhysical review Letter誌に掲載された。その他、フラーレン化合物、マンガン酸化物、金属間化合物、水素吸蔵物質などの研究が進展している。
システム開発の観点からは、これまで開発されたマキシマムエントロピー法による精密な電子密度分布のイメージング機能および単純な構造からのマキシマムエントロピー法による構造予測機能とGAなどのDirect Space法を融合させていくことが今後の大きな課題である。

Research Products

• [Publications] Y.Moritomo, A.Machida, E.Nishibori, Sh.Xu, M.Takata, M.Sakata, others: "Electron structure of double-perovskite transition-metal oxides"Phys.Rev.B,. 61,12. 7827-7830 (2000)
• [Publications] Y.Moritomo, A.Machida, E.Nishibori, Sh.Xu, M.Takata, M.Sakata, others: "Electron Doping Effects in Conducting Sr_2FeMoO_6"Phys.Rev.B,. 62,21. 14224-14228 (2000)
• [Publications] T.Tomiyama, M.Takata, E.Nishibori, M.Sakata, H.Shinohara, others: "C_<66> Fullerene encaging a Scandium dimmer"Nature. 408,6811. 426-427 (2000)
• [Publications] T.Kai, E.Nishibori, M.Takata, M.Sakata, H.Shinohara, others: "A Scandium Carbide Endohedral Metallofullerene : (Sc_2C_2)@C_<84>^<**>"Angew.Chem.Int.Ed. 40,20. 397-399 (2001)
• [Publications] E.Nishibori, M.Takata, M.Sakata, A.Taninaka, H.Shinohara: "Pentagonal-Dodecahedral La_2 Charge Density in [80-Ih] Fullerena : La_2@C_<80>"Angew.Chem.Int.Ed. 40,16. 2998-2999 (2001)
• [Publications] K.Prassides, E.Nishibori, M.Takata, M.Sakata, J.Akimitsu, others: "Compressibility of MgB_2 Superconductor"Phys.Rev.B. 64. 2509-1-2509-4 (2001)