2002 Fiscal Year Annual Research Report
電子の関与した機能材料開発のための新しい構造解析システムの開発
Project/Area Number |
12355001
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Research Institution | Nagoya Univercity |
Principal Investigator |
坂田 誠 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (40135306)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 仁平 理学電機(株), X線研究所, 所長
西堀 英治 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助手 (10293672)
高田 昌樹 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (60197100)
田中 宏志 島根大学, 総合理工学部, 助教授 (10284019)
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Keywords | マキシマムエントロピー法 / リートヴェルト解析 / 金属錯体 / 遺伝的アルゴリズム / 酸素分子 / 電子密度分布 / 結晶構造 / 構造決定 |
Research Abstract |
本年は、電子の関与した機能材料開発のための新しい構造解析システムに関する研究として、大きな成果を挙げることが出来た。それは、多孔性空間をもつ金属錯体において非常に大きな問題となっていた、酸素分子の吸着現象を、MEM/Rietveld(マキシマムエントロピー解析/リートヴェルト解析)法により解明したことである。多孔性物質とは、その表面に孔があいた物質をいう。それらの代表であるゼオライトや活性炭は、広い範囲でその機能が実用化されてきた。そのような多孔性物質のもつチャンネル空間の形状やサイズ、あるいは物理的/化学的環境を分子レベルで設計し、ナノからマクロ構造を合理的に構築できれば「機能性物質」の分野に大きく貢献するものと期待されてきた。近年、有機分子の設計性を最大限に活用して多彩な相互作用点を持つ化学側壁を合成し、高活性で特異的な機能を発現しうる金属錯体分子が注目を集めている。また、このミクロサイズ空間に種々のガス分子を吸着させ、実用的な利用も考えられ始めている。しかしながら、多孔性空間をもつ金属錯体において、結晶構造中に本当に取り込まれているのか、もし、取り込まれているなら結晶中のどこに取り込まれているのか、あるいは、表面層に吸着されているだけなのか、何も分かっていなかった。今回、多孔性金属錯体C_<16>H_<12>Cu_2N_6O_<10>に酸素を吸蔵させ、第3世代大型放射光施設Spring-8においてデータ収集し、MEM/Rietveld法により構造解析することに成功した。その結果、酸素分子は物質設計によりデザインされた空孔中に、見事に整列していることを突き止めた。この結果は、2002年12月20日発行のScience誌に掲載され、一般社会の関心も集めることになった。 システム開発の観点から、これまで開発されたMEMによる精密な電子密度分布のイメージング機能およびMEMによる構造予測機能と遺伝的アルゴリズムなどの実空間法を融合させる作業を継続して行った。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] R.Kitaura, S.T.C.Kobayashi, K.Kindo, M.Kobayashi, M.Sakata: "Formation of a One-Dimensional Array of Oxygen in a Microporous Metal-organic Solid"Science. 298. 2358-2361 (2002)
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[Publications] W.Suzuki, E.Fujiwara, M.Takata, E.Nishibori, M.Sakata: "Highly Conducting Crystals Based on Single-Component Gold Complexes with Extended-TTF Dithiolate Ligands"J.Am.Chem.Soc.. 125・6. 1486-1487 (2003)
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[Publications] Y.Maniwa, H.Kataura, M.Skata, E.Nishibori, M.Takata: "C_<70> Molecular Stumbling inside Single-Walled Carbon Nanotubes"J.Phys.Soc.Jpn.J.Phys.Soc.Jpn.. 72・1. 45-48 (2003)