2001 Fiscal Year Annual Research Report
誘発脳磁界計測のための軽量高性能磁気シールドの開発
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12355018
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
笹田 一郎 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 教授 (20117120)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
園田 敏勝 近畿大学, 九州工学部, 助教授 (40107842)
吉富 邦明 九州大学, 大学院・システム情報科学研究院, 助教授 (30150501)
林 則行 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 助教授 (30156450)
風見 邦夫 横河電機, 航空宇宙特機事業部・MEGセンタ, 係長(研究職)
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Keywords | 磁気シールド / 磁気シェイキング / 脳磁界 / SQUID磁束計 / アモルファス磁性体 / 環境磁界 / アクティブ磁界補償 / 生体磁気 |
Research Abstract |
1.前年度製作した、最外径97.4cm、最内径67cm、高さ276cmの4重殻構造円筒シールド(第一shell:パーマロイ、第二shell:ヘリカル構造アモルファス磁性体、第三、第四shell:アキシャル構造アモルファス磁性体)に、導電性布で作った簡易電磁シールドを組み合わせ、400MHz帯に存在する無線電波が10dB程度減衰され、1次微分SQUIDのノイズフロアを前年の100fT/^Hzから40fT/^Hzまで低下することができた。これによってほぼ誘発脳磁界が測定できるレベルに達した。この研究でコンパクトなモノポールアンテナの試作に成功し、磁気シールド内RF雑音評価が容易に実施できる方法を開発できた。 2.磁気シェイキングに伴う磁界の漏洩を防ぐことは本方法の重要なポイントであるが、シェイキング磁界を低減するパッシブshellを応力によって透磁率が劣化するパーマロイから劣化しにくいアモルファス磁性体に変更するために、パーマロイと同等の高透磁率を実現する熱処理方法を開発した。市販のCo系アモルファス薄帯で、220℃、1時間焼鈍後急冷することにより比透磁率で11000程度の値がコンスタントに得られるようになった。 3.パーマロイを使用しない円筒形磁気シールドの設計製作を卓上型サイズにて実施した。これまでの円筒磁気シールドの設計では、最内shellに上記2で触れたパーマロイによるパッシブshellを用いていたが、応力によって透磁率が劣化する欠点があったので、全てをCo系アモルファスとする設計手法を開発した。この方法の実施例として卓上で使用できるような長さ64cm、外径16cmで両端開口円筒形のアクティブ2重shellの卓上型シールドを試作発表した。円筒軸方向でシールド比700、径方向で20,000を達成し、生体磁気のみならず他用途に使用できるシールドとして提案した。 4.円筒形シールドの開口端から侵入してくる低周波磁界のアクティブキャンセルのために磁界の振幅、位相遅れの分布を詳細に調べ、フィードフォーワードによるキャンセル方法を確立した。重要な設計要点はキャンセルコイルの構造と外部磁界のみを検出する磁界センサの配置場所の特定であるが、これを明確にした。 5.本年度SQUIDのチャンネルを増設し12chとした。この全てが製作した大型シールド内で動作することを確認した。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 田代晋久, 小出裕之, 梅田裕介, 笹田一郎: "ビート現象を利用した磁気シールド内における線スペクトラム性ノイズのキャンセル法の提案"日本応用磁気学会学会誌. 25巻4-2号. 1119-1122 (2001)
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[Publications] E.Paperno, I.Sasada: "Charts for estimating the axial shielding factors for triple shell open ended cylindrical shields"IEEE Trans. on Magnetics. Vol.37,No.4. 1938-1940 (2001)
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[Publications] 笹田一郎: "円筒型磁気シールドの形状と特性"電気学会論文誌A. 121巻12号. 1062-1065 (2001)
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[Publications] 田代晋久, 吉富邦明, 風見邦夫, 笹田一郎: "小型アンテナによる磁気シールド内のRFノイズ測定"日本応用磁気学会学会誌. 26巻4-2号(印刷中). (2002)
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[Publications] I.Sasada: "Orthogonal fluxgate mechanism operated with dc biased excitation"Journal of Applied Physics. Vol.91(印刷中). (2002)
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[Publications] 梅田雄介, 田代晋久, 笹田一郎: "円筒形磁気シールドにおける開口端侵入磁界の振る舞いと補償コイルの検討"電気学会マグネティックス研究会資料. MAG-01. 89-94 (2001)
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[Publications] T.Sasada, E.Paperno: "Magnetic sensors and Magnetometer, P.Ripka (Ed.), "Magnetic shielding"(分担)"Artech House, Boston and London. 410-424 (2001)